日本銀行が31日、大規模緩和策の修正に踏み切った。物価が思うように上がらず、長期化を余儀なくされる緩和策の「副作用」を減らすためだ。ただ、市場の動揺を避けるため、今後も低金利を続けることを同時に約束する、どっちつかずの内容でもある。米欧が金融緩和を終える「出口」へ向かう中、日銀は取り残されるばかりだ。

 日銀は2013年4月から始めた大規模な金融緩和で、「2%」の物価安定目標を「2年程度」で実現すると表明した。だが、思惑に反して物価は思ったように上がらず、達成時期はこの5年間で6度先送り。今年4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」ではついに、達成時期そのものの表現を削除した。

 この日公表した展望リポートの物価見通しでは、20年度でも物価上昇率は1・6%にとどまると下方修正。「単に『緩和を長く続けます』だけでは、金融政策への信認を十分に確保できないおそれがある」(黒田東彦〈はるひこ〉総裁)として、確実に緩和を続けるための政策修正に追い込まれた。

朝日新聞
2018年8月1日08時24分
https://www.asahi.com/articles/ASL7056F5L70ULFA01J.html
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20180731005541_comm.jpg