岸田政調会長が安倍首相支持で不出馬を決め、二階派は31日に安倍支持を正式に表明した。共同通信の動向調査でも、現状、約76%が安倍支持だという。安倍首相はさぞ笑いが止まらないだろうと思ったら、意外やそうでもないらしい。3選圧勝ムードが高まりすぎて、判官びいきの離反を恐れているという。

1.無記名投票

 参院竹下派(21人)が石破元幹事長を支持する方向に傾いている。同派の衆院には茂木経済再生相ら安倍首相に近い議員が少なくなく、衆参で対応が割れ、派閥で一致結束した行動とならない可能性が高い。そうなると、無派閥や他派閥でも個人として石破支持に回る議員が出てきかねない。特に総裁選は「無記名投票」だ。国会議員投票は党本部に設けられる会場(通常は8階ホール)で行われるが、「筆跡を変えて書けば、無記名なので誰だかわからない」(ベテラン議員)とも。ただ、首相サイドも「無記名」には警戒していて、「ホールの2階席後方から双眼鏡で誰の名前を書いたかチェックする」なんて冗談のような脅し話も聞こえてくる。

2.地方反乱 

 安倍首相は地方票でも石破氏を圧倒しようと、公邸などに地方議員を招くなど余念がない。とはいえ、「安倍政権はTPPなど農政改革に手をつけているので、東北の党員は安倍ギライが多い」(東北選出の中堅議員)。元来、西日本は安倍首相の強いエリアだが、豪雨災害への対応が後手に回ったことで印象はよろしくない。

 加えて痛いのが、安倍チルドレン・杉田水脈衆院議員の「LGBTは生産性がない」発言だ。

「党本部だけでなく地方県連にも、抗議電話が殺到していて、テンヤワンヤのようです」(自民党議員秘書)

 来春の統一地方選もあり、選挙の顔が安倍首相でいいのかどうかは、地方ほどシビアだ。

3.歯科治療 

 永田町で最近注視されているのが、安倍首相の歯科診療の多さだ。以前は議員会館内の歯科に月1ペースだったのが、今年に入って日本歯科大付属病院へ通うようになり、その頻度も、首相動静に出ているだけで、4月は2回、6月は3回、7月も3回と増えている。安倍首相は「潰瘍性大腸炎」という難病を抱え、副作用の強いステロイドも服用している。その影響で歯茎がガタガタなのではないか、などと囁かれているのである。

「もろずみ歯科」の両角旦院長は一般論だとしてこう話す。

「ステロイドの副作用で口腔内の粘膜が荒れることがあります。びらん状になって出血し、痛くて食事を取れなくなる。メンテナンスをしないと大変です」

 安倍首相の健康不安はくすぶり続けている。31日は公務を入れず、閣議は取りやめとなった。首相周辺は「体調が悪いわけではない。ただの休暇だ」と言うが、その否定がむしろ怪しい。

日刊ゲンダイ
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