北の脅威が薄れても、相変わらず武器の爆買いに猛進する安倍政権。今度は、大量の電磁波で敵のレーダーや通信網を機能不全にする電子攻撃機を導入する方向だ。電子攻撃機は、報復攻撃を抑えるための先制攻撃用の戦闘機。米国の北攻撃でも使用が検討されていた。日本の電子攻撃機配備は、「専守防衛」を大きく逸脱するだけでなく、北にケンカを売っているのと同じだ。

「米ボーイング社のEA18Gが有力候補で、グラウラー(うなる者)と呼ばれています。安倍政権は今年末に改定する次期(2019〜23年度)中期防衛力整備計画に盛り込む予定です。8月末の概算要求には、少なくとも調査費は入れてくるでしょう。最終的には20機程度の配備を計画していて、最低でも1500億円が必要です」(防衛省担当記者)

 昨年、北が核実験やミサイル発射を繰り返していた頃、米国の武力攻撃に対する北の報復攻撃で韓国や日本が血の海になると懸念された。そこで、米国が準備していたのが、電子攻撃機による“麻酔作戦”だ。元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓殖大主任研究員の高永侮≠ェ言う。

「米国は、1991年の湾岸戦争や03年のイラク戦争でも麻酔作戦を実行し、成果を上げています。武力攻撃の直前に、電子攻撃機で妨害電磁波を飛ばし、指揮命令系統やミサイルシステムを制御不能にして、反撃を封じるのです。1〜2時間で北のシステムは壊滅します。外科手術前の麻酔のようなものです。北からしてみれば、電子攻撃機は米国の先制攻撃を彷彿させる。このタイミングで日本が電子攻撃機配備を進めれば、北の反発は避けられないでしょう」

 2基6000億円の「イージス・アショア」が北ミサイルの砲撃なのに対して、電子攻撃機は先制攻撃のための戦闘機だ。北がアタマにくるのも無理はない。

 非核化に向けて対話を続ける米国は、北への配慮から「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)を使わないようにせよ」と政権内で指示が出たというが、安倍政権とはえらい違いである。もはや安倍KY政権に外交は任せられない。

日刊ゲンダイ
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