https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180730-00010000-fnnprimev-pol

182日間にわたり与野党が攻防を繰り広げた通常国会が7月22日に閉会した。森友学園問題での財務省の公文書改ざんをはじめ、政府に数々の問題・疑惑が発覚する異例ずくめの国会だったが、終わってみれば「安倍1強」の状況が崩れることはなかった。

まとまらない、決められない“旧・民主党”の変遷

疑惑解明に至らず、議論も深まらなかった原因ついては、政府与党の姿勢も当然指摘される。一方、「攻め手」側の野党に焦点をあてると、「敵失」ともいえる好機に数多く恵まれながら、それを生かし切ることができなかったことは間違いない。

では、野党は通常国会にどのように臨み、何を成し遂げ、何をできなかったのか。
「弱すぎた野党」 成果で見れば野党の”完敗”

安倍内閣の不信任案が否決され、事実上の国会最終日となった20日の夜、国民民主党の大塚共同代表が繰り返し使った言葉がすべてを物語っていた。

「野党が弱いがゆえに・・・」「あまりに野党が弱ければ・・・」

感情を表に出して政府与党を追及する野党幹部が多い中にあって、周囲も辟易するほどの理屈じみた言動から「政治家というより学者」と揶揄されることもある大塚氏が、珍しく顔を紅潮させつつ口にしたのは、通常国会における野党の「弱さ」であった。

通常国会に政府が提出した法案は65本。そのうち9割を超える60本が成立し、特に働き方改革関連法や、カジノを含む統合型リゾート=IR実施法といった政府が重要法案と位置づけ、野党が廃案を目指した法案はいずれも成立した。

野党にとっての法案審議における成果は、厚労省のデータの不備を追及したことにより、働き方改革法から「裁量労働制の対象拡大」について撤回させたことや、一部の法案の採決の際に運用を制限する付帯決議を付けることができたくらいだ。

また、財務省で公文書改ざんや事務次官によるセクハラ問題まで明らかになったにも関わらず、麻生財務大臣を辞任に追い込むことができず、通常国会における閣僚の交代は1人もなかった。

与野党攻防という観点から法案の成立率や直近の内閣支持率などを冷静に見た時に、結果として野党は”完敗”だったと言わざるを得ないのではないのだろうか。

野党「弱さ」の原因 「乱立」と「足並みの乱れ」

野党の「弱さ」の原因は、単に議席数が少ないということだけではない。ここでは「乱立」と「足並みの乱れ」という2つのキーワードから読み解きたい。

衆議院に現在の小選挙区・比例代表並立制が導入されたのは1994年のこと、「政権交代可能な2大政党制」を念頭に置いてのものであった。

しかし、現在の野党の状況は「政権交代可能な2大政党」の一翼からは程遠い。政党要件を満たす党が6つもあるうえ、さらに無所属議員が衆参あわせて30人を超えている。

この「野党乱立」の影響が最も出たのが「党首討論」だ。この通常国会では2回開かれたが、45分間の質疑時間を各党で分配するため、最長でも20分に満たず、割り当ての3分を辞退した会派もあった。これでは議論が深まるはずもない。

また、野党が乱立しているからこそ、少なくとも国会内での行動については、1つの塊となって与党と対峙するべきだが、結局「足並みの乱れ」が目立った。

終盤国会では、法案採決を阻止するための戦術をめぐり、立憲民主党と国民民主党が激しく対立し、国民の利益からは程遠い「野党内抗争」ともいえる動きに終始した。

(略)