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今週のメルマガ前半部の紹介です。水道法改正案の採決が参院で見送られたとのニュースで初めて知ったのですが、あれって結構反対してる人がいるんですね。個人的には、インフラ売却ではなく単なる運営権の譲渡だけなのにまー暇な人もいるもんだなくらいの感想しかありません。

一時「中国人に水源地を買い占められる!」って騒いでる人達もいましたけど知能水準でいうとあれと同程度です。キャンキャン吠える相手が中国か外資系企業かって違いだけですね。

とはいえ、彼らの姿勢からは色々と気づかされることも多く、よい機会なのでまとめておきましょう。政治からキャリアまで、若い世代にとって良い反面教師となってくれるはずです。

日本の対立軸は左右ではなく上下の間にこそある
水道民営化ガーって言ってる人のSNSでもブログでもいいのでちょっと注意してみてほしいんですが、たぶんほぼ100%の確率で「高プロで過労死ガー」って言って反対してると思います。で、ちょっと前は共謀罪反対、その前はTPP反対、そして放射能で東京壊滅とかも言ってるはずです。

その以前はわかりませんが、恐らく「郵政民営化で国民の資産300兆がアメリカの手に……」って言って反対してたはずです。あと企業の三角合併解禁や、さらにさかのぼれば牛肉やオレンジの輸入自由化、PKO法案なんかもきっと反対していたことでしょう。

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仮に、彼らの懸念がすべて実現していたら、社会はどうなっていたでしょうか。

・PKO法案成立で自衛隊はアジア侵略再開、第三次世界大戦へ
・輸入牛やオレンジで酪農やみかん農家壊滅
・郵政民営化で郵便ネットワーク崩壊、郵貯ぜんぶ米国に取られる
・三角合併解禁で日本企業は外資に買収され放題で日本人は奴隷に
・TPPで日本のカネも雇用も外資に取られ放題
・放射能で東京壊滅
・共謀罪で居酒屋で3人集まって政権批判しただけで逮捕
・高プロで過労死合法化       ←今ここ!
・水道民営化で水道代10倍に     ←今ここ!

なんだか北斗の拳みたいな世界ですけど、当然ながらぜんぜんそうはなってません。自衛隊はどこも侵略してないし日本企業は買収されまくってないし、牛肉は競争の結果むしろ和牛ブランドが確立して輸出する側にまわっているし、まあみかんはいろんなフルーツが輸入されるようになったんで多少の消費は落ちてますが少なくともコタツでオレンジばっかり食べてウェーイって言ってる人は見たことないし、TPPは米国の陰謀どころかトランプさんが速攻で逃げ出す一方、逆に他の国が入れてほしいと頭下げてくるし、東京の居酒屋で政権批判しようが公道でデモしようが誰も逮捕されてないわけです。

【参考リンク】TPP、2019年にも加盟国拡大 タイなど有力
【参考リンク】適用報告なし 法務省「ハードル高い」 施行1年

ここで一つ疑問が残ります。彼らはなぜまったく反省しないんでしょうか。たとえば直近のTPPとか共謀罪デマで空振りした後の動向をチェックしてみると面白いんですが、彼らは反省とか総括は一切やらず、そのまま無言ですぐに次のネタを発掘しはじめるんですね。その最新版が水道民営化というわけです(西日本水害でもいろいろやってたようですがSNSで良識派に速攻駆除された模様)。

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このことからは、彼らは別に社会をよくしようとか何かを守ろうとかは実は全然考えてなくて、本当のところは自己満足のために運動してるだけということがわかります。運動、あるいは闘争それ自体が目的ということです。本当に何かを実現したい人というのは必ず失敗を総括して乗り越えようとするものですからね。

そういう意味では、問題の本質は彼ら自身の心の中にあるといっていいでしょう。

世の中には、より成長し豊かになろうと上を向いて努力する人達がいます。それに対し、何か変えたら今よりずっと悪くなるぞ、みんな貧乏になるぞ、と下ばっかみて騒ぐ上記のような一群の人たちも存在します。

実は、日本においては左右の間で議論らしい議論はほとんど行われておらず、上下の間で(陰謀論をベースにしちゃってるせいで)中身のない議論が延々行われている、というのが筆者の見方です。

ちなみに筆者は、リベラルにくわえて「TPPで亡国するぞ」とか垂れ流してたなんちゃって保守の人達も全部含めて“下翼”と呼んでいます。そもそも「自由競争したら日本人は負ける。日本人は規制で守らないといけない弱い民族だ」っていうのが保守なわけないでしょ(苦笑)。右でも左でもなく、いつもびくびく下ばっか気にしてるから下翼。わかりやすいですね。