>>1社説の問題点として、「懲戒処分の判断」と「新たな任用行為における選考の判断」は、
それぞれの制度趣旨から自ずと異なるものであることを理解せず、混同している点が挙げられる。

「再任用制度等は,定年等により一旦退職した職員を任期を定めて新たに採用するものであって,
いずれの制度についても,任命権者は採用を希望する者を原則として採用しなければならないと
する法令等の定めはなく,また,任命権者は成績に応じた平等な取扱いをすることが求められると
解されるものの(地方公務員法13条,15条参照),採用候補者選考の合否を判断するに当たり,
従前の勤務成績をどのように評価するかについて規定する法令等の定めもない。これらによれば,
採用候補者選考の合否の判断に際しての従前の勤務成績の評価については,基本的に任命権者の
裁量に委ねられているものということができる。」(最判平30・7・19)

>再任用制度等は,定年等により一旦退職した職員を任期を定めて新たに採用するもの
すなわち、任用の前後において身分上の連続性はなく、懲戒処分の場合とは前提が異なる。

>任命権者は採用を希望する者を原則として採用しなければならないとする法令等の定めはなく
教育委員会は、一定の基準の下に希望者を選考した上で任命する権限を有している(地教行法34条)。
つまり、希望者を全員採用しなければならない義務を負うものではない。

>任命権者は成績に応じた平等な取扱いをすることが求められる
戒告処分にとどまる者の場合であっても、それが最近の非違行為(職務命令違反)であり、故意による
ものであって、殊に繰り返されているときは、その従前の勤務成績が低い評価となるのは当然である。

>採用候補者選考の合否を判断するに当たり,従前の勤務成績をどのように
>評価するかについて規定する法令等の定めもない。
教育委員会は、その採否の判断につき、広範な裁量権を有しているものと解される。
その広範な裁量権の行使の結果としての任用の実状から生じた事実上の期待は、
法的に教育委員会の裁量権を制約する根拠になるものとはいえない。

>これらによれば,採用候補者選考の合否の判断に際しての従前の勤務成績の評価については,
>基本的に任命権者の裁量に委ねられているものということができる。
以上のとおり、「採用側の裁量を広く解釈しすぎ」(>>1社説)ということはできない。