◆不祥事続発、政権つまずき=対立激化、しぼむ改憲機運−通常国会
時事ドットコムニュース

 22日が会期末の第196通常国会では、安倍晋三首相が最重視した「働き方改革」関連法をはじめ重要法案がほぼ成立する一方、「森友・加計学園」問題など政権を揺るがす不祥事が続発した。内閣支持率が大きく低下したのに伴い、首相が目指す憲法改正の機運もしぼんだ。国会審議では与党の数の力による強引な運営が際立ち、与野党対立はかつてなく深まった。

 首相は事実上の国会閉幕を受けた20日夜の記者会見で「未来を見据えた改革を進める準備が整った」と強調。米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定「TPP11」関連法や、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)実施法も成立させた今国会の成果を誇った。
 1月22日の召集に際し、首相は今国会を「働き方改革国会」と銘打つ一方、憲法改正については「実現の時を迎えている」と踏み込み、国会発議に強い意欲を示した。
 だが、つまずきは首相自身の足元で起きた。2018年度予算案が衆院を通過した直後の3月上旬、首相夫人の昭恵氏も絡んだ森友学園への国有地売却をめぐり、財務省の公文書改ざん疑惑が浮上。同省は改ざんを認めるに至った。その後、「存在しない」としていた自衛隊の日報が見つかり、首相秘書官が加計学園獣医学部新設を「首相案件」と述べたとする文書が明るみに出た。
 前財務事務次官のセクハラ問題も発生。財務省の関係した問題が続出し、一時は政府・与党内で、政権の「骨格」である麻生太郎副総理兼財務相の辞任観測も流れた。
 一連の問題では首相に対する周囲の「忖度(そんたく)」が疑われ、長期政権のひずみが指摘された。首相は「うみを出し切る」と力説したものの、国会では論点をずらす答弁が目立った。
 与野党対決となった働き方法やカジノ法は32日間の延長国会で成立したが、与党の強引な採決は批判を呼んだ。カジノ法の衆院審議は18時間余り。首相も委員会に出席する「重要広範議案」の基準とされる30時間に遠く及ばなかった。参院定数6増の改正公職選挙法は衆参両院計9時間15分の質疑で採決された。
 「憲政史上最悪の国会」。20日の内閣不信任決議案の趣旨弁明で、立憲民主党の枝野幸男代表は今国会をこう断じた。
 対決色が強まる中、与野党協調が必要となる改憲の国会発議は遠のいた。主要野党は20日、投票機会の拡大を図る国民投票法改正案の継続審議にもそろって反対を表明した。「国会論議が本格化するのは、早くて来夏の参院選以降」。自民党内ではこうした見方が強まっている。(2018/07/21-18:03)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018072100443&;g=pol