「はしゃいでいるような感じを出したのが軽率だ。自覚がない」――。13日は小泉純一郎元首相に叱られた。西日本を中心とした豪雨のさなかに「赤坂自民亭」と称する宴会の写真をツイッターに投稿した西村康稔官房副長官。猛批判を浴びる中、4年前に噴飯モノの自著を出版していたことが分かった。

 タイトルはナント、「命を守る防災・危機管理」(プレジテント社)。防災担当の内閣府副大臣時代に、77人が犠牲となった2014年8月の広島土砂災害の現地対策本部長として、指揮を執った経験をもとに執筆したもの。帯には安倍首相の「数々の災害に、彼が最前線で指揮を執ってくれた」との推薦文が寄せられている。

 本の内容は〈史上初の行方不明者の氏名公表に踏み切る〉〈応急復旧工程表の公表日をアナウンス〉〈安佐南区、安佐北区限定の大雨警報で避難誘導〉などと、自分の手柄に対する自画自賛のオンパレード。冒頭に〈大災害からの教訓〉として〈避難勧告の遅れで避難せずに亡くなった方も多く、早く避難していればと悔やまれることも多い〉と書いたが、「自民亭」での西村氏のはしゃぎぶりは、まるで「教訓」が生きていない証拠だ。

ネット上には〈本の表紙に書き並べてある文句が現実離れしていて「ガクッ」とくる〉〈パロディー本かと思えるほど〉などと、あきれ返る声が上がっているが、西村氏は豪雨被害が深刻化していた10日にも自身のオフィシャルサイトの「とっておきの1枚」に、その日の昼食の写真を投稿。被災地では食事もままならないのに〈野菜炒め、シラスおろしに、レンコンの煮付けです〉と、のんきなキャプションを書いていた。既に初動の遅れを指摘されていたのに、何を考えているのか。

 ちなみに、西村氏の資金管理団体は14年12月に計102万6000円を投じて、問題の本を1000冊も“爆買い”。同じ月に2回開催した「出版記念セミナー」の「土産代」として計上したが、本をもらった人々も今ごろ、「おまえがエラソーに防災・危機管理を語るな」とさすがに思っているに違いない。

日刊ゲンダイ
2018.07.14
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/233402
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