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そして、それが露呈したのが、27日に国会内で行われた民進党による外務省のサミット担当者へのヒアリングだった。

民進党のサミット調査チームは、サミットの討議の場で、首相が唐突にリーマンショック前夜を持ち出した際に、
各国の首脳に提示した4枚の資料の出どころを問題視した。
首相には日本の指導者として、自らの政治的な判断で様々な交渉を行う権限があることは言うまでもない。しかし、今回首相が「政治的判断」でリーマンショック前夜を持ち出した際に使われた資料には、日本政府が正規の手続きで採用し、
発表していた世界経済の状況判断とはかけ離れた内容のことが書かれていた。

首相がサミットの場で持ち出した「リーマンショック前夜」の認識の前提は、政府の正規の経済判断とは全く無関係に一部局が独断で単独で作成したデータに基づくものだったのだ。

そのペーパーにはIMFのコモディティ・インデックスや新興国の経済指標などが印刷されており、
それらのデータがリーマンショック前のそれと似ていることを指摘する注釈が書き込まれていた。
現在の世界経済がリーマンショック前の状況と似ていることを無理やりこじつけるために、使えそうなデータを恣意的に引っ張ってきただけの、
およそサミットの場で首脳たちに配布するに値するとは言えない、やや怪文書に近い代物だった。

民進党のチームはサミットを担当する外務省経済局政策課の担当者を国会内の会議室に呼びつけ、
その資料の出どころを問い質した。なぜならば、その資料に反映されていた世界経済の現状認識は、
その僅か3日前に政府が月例経済報告で示した認識と180度異なる内容だったからだ。

安倍政権は5月23日に開かれた「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の場で、世界経済は「全体としては緩やかに回復している。
先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される」とする2016年5月の月例経済報告を了解していた。