7/8(日) 8:50配信 HARBOR BUSINESS Online 取材・文・訳/林泰人

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180708-00170037-hbolz-soci
(長いので全文はこちらで)

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 そんななかBBCで公開されたドキュメンタリーについて、海外メディアはどのように報じているのか?『テレグラフ』の記事には、次のような記述が見られた。

“『法的手段に訴えるなら、そうすればいい』と彼(山口敬之氏)は答えた。『勝ち目はないですよ』。おそらく、彼の自信は安倍晋三首相との親密な関係に拠るものだろう。だが、日本の強姦被害者は全体的に不利な立場にある。警察官のうち女性は8%しかおらず、法律では110年間にわたって、被害者が身体的抵抗を示す必要があった”

 法律的側面から日本の強姦被害を分析する記事はほかにも多く、『ガーディアン』にも同様の内容が。

“日本の強姦罪は1907年から改正されておらず、強姦罪の最低刑期は窃盗罪よりも短かった。日本をグローバルスタンダードにしている統計は、文化的、構造的に女性に対する性的暴行が深刻な問題として扱われていないことを示唆している”

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 一部には「日本を貶める番組だ」という意見もあるようだが、伊藤氏の事件を抜きにしても、性的暴行に対して社会がしっかり向き合っているとは言えない。被害を訴えても、それに対してバッシングが起きることも問題のひとつだ。

「男を誘うような服装をするのが悪い」

「勘違いさせるような言動をしていた」

「どうせ、あとから気が変わった」

「賠償金目当ての美人局」

 悲しいかな、いずれも被害者が声を上げたときにネット上などで、よく見られる反応だ。こういった投稿は多かれ少なかれ、どこの国でも見受けられる。だが、公の場で大真面目に主張されることはまずありえない。ましてや政治家がそんなことを語るというのは、先進国では考えられない事態だ。

 しかし、今回放送された番組では、そんな発言がなんと衆議院議員の口から飛び出しているのだ。

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「誰か性的に嫌がらせをされていたり、泥酔して困っていたら助けるべきだよ。酷い話だ。『#MeToo』が日本でアメリカほど機能していないのは、セクハラや暴行は被害者に問題があると思っている人が多いからじゃないかな? 被害を受けること、特に声を上げるのは恥ずかしいことだと思われてるように見える。統計を見ても嘘の被害報告はものすごく少ないから、アメリカでは被害者が本当のことを言っていると信じてもらえる。日本ではどうなっているのかわからないけど、こういったニュースを見たり、本を読むと女性が悪いって風潮が強いみたいだね。今回の番組でも衆院議員が『飲みすぎたのが悪い』って言ってるけど、イカレてるよ。日本もいつか変わると思うけど、かなり時間がかかると思う」(アメリカ人・38歳)

 また、この男性は伊藤氏について次のように語ってくれた。

「どうせ、彼女の話はボロクソ言われるんだろ? しかも彼女はジャーナリストなのに、わざわざ嘘をつくはずないじゃないか。何もかも失って、得られるものはほんの少しの正義だけなんだから。こういったことを(日本の)みんなの前で主張するのは、狂っているかスゴく勇敢かだよ。僕には彼女が狂っているようには見えない。もっとこういう声を上げる人が増えるといいね。問題を無視するのは、加害者を助けるのと同じことだから」

 はたして女性までもが被害者を責めるような状況は、いったいいつ変わるのか? 一人でも被害者を減らすためにも、より活発な議論が行われることに期待したい。