10日に投開票がおこなわれた新潟県知事選挙は、花角英世候補(無所属)が当選した。

花角候補が自民・公明の支援を受け、立憲民主党・国民民主党・日本共産党・自由党・社民党・無所属の会という野党6党・会派は、
野党系県議の池田千賀子候補(無所属)を推薦。
事実上の与野党の対決≠ニも目されたことで、その勝敗の行方が注目されていた。

花角候補が国と県を繋ぐ自身の実績と能力をアピールしたことに危機感を覚えたのだろう。
野党側はわざわざ「新潟のことは新潟で決める」というキャッチフレーズまで作り、SNSでもこのハッシュタグを拡散させた。
だが、参院選を意識するあまり、党首を全員揃えて応援演説に送り込むなど、新潟で決めるべき地方自治の行方を、
国政の代理戦争≠ヨと積極的に演出したのは野党のほうだった。

最終盤の8日、JR新潟駅前で池田候補の応援演説に立った評論家の佐高信氏は、

「安倍のバカなバカ騒ぎを打ち破るためにも絶対に勝たないといけない。自民党に天罰を、公明党に仏罰を」と声を張り上げた。

■名護市長選挙と同じ結果

激しい接戦となった今回の新潟県知事選でも、過日の沖縄・名護市長選挙(2月4日投開票)と共通するデータが出ている。

NHKの調査では、新しい知事にもっとも期待する政策として有権者が挙げたのは、景気・雇用対策がもっとも多い31%で、
原発の安全対策が24%、医療福祉の充実が22%だった。

しかし共産党などは、あえて東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を最大の争点≠ニして訴えた。
いつものように争点を単純化し、あえて有権者を是か非かで分断し、「不安と憎悪に火をつける」選挙戦に仕立てたのだが、
多くの県民はそれだけではない暮らしの全般を考えていたことになる。

朝日新聞の出口調査では、「原発再稼働に反対」と答えた人のうち、じつに4割近い37%が花角候補に投票している。

さらにNHK調査(「新潟県知事選出口調査結果から」)で興味深いのは、これも名護市長選と全く同じで、
10代〜50代では花角氏の支持が池田氏を上回り、60代〜70代になると池田氏の支持が増えている。

働く現役世代は、もちろん原発の安全性は求めながらも、経済や雇用などの発展を期待した。
北陸新幹線の延伸で活況を呈する石川県や富山県とは対照的に、野党が勝たせた前知事の1年半の新潟県にはとりたてて希望が見えなかった。

若者や現役世代が、多様な情報と視点で選挙をとらえて、より現実的な判断を下し、
リタイア世代が野党の「争点の単純化」に共感した構図は、名護市長選の結果そのものであろう。

ともあれ、新しい新潟県知事には、まず県政に対する県民の信頼を回復させ、より多くの県民が安心できる舵取りを期待したい。

そして、野党はいい加減に、こうした「有権者の分断」「不安と憎悪を煽る」「対決型を演出する」という古色蒼然とした
共産党的な$術の愚かさに気づき、多様な意見を反映させるためにも、合意形成のできる政党へ成熟してもらいたい。

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