自民党の石破茂元幹事長は11日夜、大阪市を訪れ、党府連の地方議員らと会食した。4月には安倍晋三首相が府連の会合に出席したばかり。9月の党総裁選をにらんだ駆け引きが活発化している。【高橋恵子】

 伊丹空港から同市浪速区の串カツ店に直行した石破氏は、党府連の若手府議や大阪市議ら約40人と一緒に串カツをほおばった。党府連は日本維新の会が目指す「大阪都構想」の住民投票に反対しており、ある府議は「串カツのソース2度づけ禁止、住民投票2度目も禁止」と気勢を上げた。

 2012年総裁選で、石破氏は地方の党員票では首相を上回った。大阪でも石破氏8321票、安倍氏6917票。党府連の9票のうち、石破氏と首相が4票ずつを得た。

 今回も地方票を重視する石破氏は2月、大阪市で自民党石破派のセミナーを開き、1000人超の参加者を前に「総裁選に臨むときは『これがあるべき日本の姿だ』と自信を持って語りたい」と立候補に意欲を示した。石破派に大阪府選出の国会議員はいないが、同派幹部は「大阪は石破シンパが多い」と期待する。

 一方、首相も巻き返しに懸命だ。石破氏のセミナーを意識し、4月13日には党府連幹部らと会合をはしご。出席者によると、首相は大阪都構想に否定的な発言をし、維新との近さを懸念する関係者の不安解消に努めた。翌14日には府連の臨時党員大会で「私は常に府連とともにある」とリップサービスした。

 首相の総裁3選を期待する自民党議員は、次期総裁選で地方での圧倒的な勝利を目指してきた。しかし、学校法人「森友学園」「加計学園」などの問題が尾を引き、安倍内閣の支持率は低下。同党の地方組織には首相への不満がくすぶる。

 特に大阪では自民党は維新に押されている。首相と石破氏は来年春の統一地方選に向け「選挙の顔」を競っている面もある。

 11日夜の会合で、石破氏は「府連も大変だ。私が来るとすぐ首相がご登場になって。なぜかはわからないが」とあいさつし、出席者を沸かせた。ある府連幹部は「党員や市民の反応では石破氏の方が人気があると感じる」と語った。【高橋恵子】


毎日新聞
2018年5月11日 22時04分
https://mainichi.jp/articles/20180512/k00/00m/010/151000c