加計学園の獣医学部新設を巡る疑惑で与党は5月7日以降に衆参両院の予算委員会を開き、柳瀬唯夫経済産業審議官を参考人招致する日程を野党に打診。野党は審議に復帰し、安倍晋三首相らの関与を追及する構えだ。

当時、首相秘書官だった柳瀬氏が2015年に学園関係者や愛媛県職員と首相官邸で面会したと記した同県職員の備忘録が農林水産省などで見つかったが、柳瀬氏はこれまで国会で「記憶にない」と否定。これを事実上修正し、面会を認める方針だ。

 元首相秘書官の柳瀬氏が面会を認めれば、計画を知らなかったとする安倍首相の答弁と矛盾が生じ、政局化するのは必至だ。

 一方、森友疑惑で野党から証人喚問を要求されているもう一人の重要参考人、安倍昭恵夫人。天皇、皇后両陛下が主催する春の園遊会に4月25日、安倍首相ともに出席し、ふさぎ気味かと思いきや、白地の着物の胸には「安倍晋三夫人」の名札をつけ、笑顔を振りまいていた。

 4月17日から20日まで、昭恵夫人は首相とともに訪米。トランプ大統領のメラニア夫人からは「困難があっても乗り越えて。あなたならできる」と慰められたとも報道された。

「慰められるくらい、安倍内閣の危機がホワイトハウスに伝わっているという意味。今回の訪米で、よく昭恵さんを同行させたなと思いますよ。これだけモリカケ問題が追及を受け、安倍内閣の支持率が危険水域まで来ているのに、昭恵夫人は『もちろん、私も行きます』と宣言したそうです。首相とともに、あっけらかんと、笑顔で訪米を楽しんでいましたからね。どうなっているのと思う人も多い」(自民党幹部)

 しかし、柳瀬元首相秘書官や昭恵夫人の証人喚問で国会は空転したまま。永田町では、自民党の森山裕国対委員長の「野党が内閣不信任決議案を出せば、衆院解散も一つの選択肢」という発言が波紋を広げた。

「解散はただの脅しで、二階(俊博)さんは『解散はない』と言っている。ゴールデンウィーク中、安倍さんは昭恵夫人とUAEなどを歴訪。野党から辞任要求された麻生(太郎)さんもフィリピン、ほとんどの閣僚が外遊しました。国民の批判なんてどこ吹く風です。北朝鮮を巡って万一、有事があったらどうするつもりだったんでしょうかね」(政府関係者)

 しかし、外遊続きで首相は昭恵夫人と久々、夫婦水入らずでゆっくりできたようだ。

「安倍さんは、『外遊だと、昭恵がどうしているかわかるから安心』と呑気に言っていたそうです。自民党が安倍夫妻にもてあそばれている、そんな感じもしますよ。昭恵さんもあれだけ女性の権利を擁護していたのに、財務事務次官だった福田淳一氏のセクハラ問題には沈黙です。まあ、そんなもんですよ」(同前)

 昭恵夫人の笑顔の理由をどう見るか。昭恵夫人と今でも年賀状のやりとりのある聖心女子専門学校同級生は、こう好意的に見る。

「昭恵さんは森永製菓の創業者一族のご令嬢と、子どものころからわきまえて行動してましたから。今も立場をわきまえていらっしゃるのではないでしょうか」

 安倍夫妻の結婚のキューピッド役を務めた元山口新聞東京支局長の濱岡博司氏はこう語る。

「世間一般で言われているような、昭恵さんの暴走で森友問題が起きたという構図ではないと思います。昭恵さんは何でも晋ちゃんに報告していましたからね。昭恵さんには自分のせいではないという気持ちがあるから、あっけらかんと笑顔を見せているのでしょう。首相の母、洋子さんはそんな昭恵さんの楽天家ぶりを見て、寝込んだこともあるようです」(本誌 上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事
2018/5/6 16:00
https://dot.asahi.com/wa/2018050600009.html