2018年5月2日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/228284

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全世界に泣きじゃくる姿をさらし、地方議会の政務調査費の闇を世間に知らしめたのが、野々村竜太郎元兵庫県議(51)だ。2016年7月に、詐欺罪で懲役3年、執行猶予4年の判決を受けた。現在は、大阪市に住む「ののちゃん」に会いに行ってきた。

「ウワーん。ワァーん、ビェーん、ワァーん」

 14年7月、大の男、それも地方とはいえ、れっきとした政治家が子どものように泣きじゃくる様子は、当時、日本中を凍りつかせたものだ。

 この“キレ芸”を炸裂させた野々村元兵庫“号泣”県議は、結局、「カラ出張」で政務調査費を詐取した罪で、有罪判決を受けた。

 彼は今、大阪市住之江区の集合住宅に住んでいる。その自宅を直撃したのだが、何の返答もない。しばらく自宅前で待っていると、警察官がやって来た。

「あの? 住民の方から連絡が来まして。どこの社の方でしょうか?」

 通報主は野々村氏のようだ。警察官に事情を説明すると、心なしか半笑いで、「分かりました」とだけ答えて去っていった。

「野々村さんは事件以来、ずっと自宅で引き籠もっていますが、その足音で家族、団地の住人、警察官、営業マン、マスコミ……と聞き分けられるそうです」(地域住民)

 これまでにも5回ほど、野々村氏の自宅を直撃している。

 その都度、チャイムを鳴らし、ノックをし、名刺をドアに入れているが、一度も反応することはなかった。明らかに人の気配がするにもかかわらず、だ。

 確かに野々村氏は在宅しているのだろう。自宅前で待ち伏せていると、必ず警察官がやって来る。そして「どこの社ですか?」と問いただされるのだ。

「夜中なら運がよかったら会えるかもしれへんで。でも、どうもマスコミさんが来ていると分かるみたいやな。そういうときは、絶対、表には出はらへんみたいなんや。深夜でも帽子にマスク姿で歩いてはるから、近所の住民からしたら余計目立つんやけど(笑い)」(前出の地域住民)

 モノは試しと近隣住民にドアをノックしてもらい、ドアに記者の名刺と手紙を入れてみた。すると、中からこれを取り出す様子が分かった。

 きっと、野々村氏本人に間違いないだろう。

 やはり、マスコミ関係者とそれ以外とは音と気配で区別できるようだ。

「ご両親の年金で暮らしてはると聞いています。事件があったにしても一度は“先生(議員)”だった方ですから。結構、おカネも持ってはるのとちゃいますか」(前出の地域住民)

詐取した公金はすべて返金。これにより「執行猶予を勝ち取った」(弁護士)という声もある。

 事件後の裁判では、その弁護士費用についても取り沙汰されたものだ。

「国選弁護人なので無料ですよ。弁護士は記者団に揉みくちゃにされ車を傷だらけにされたと激怒していました。政調費の使い道だけではなく、マスコミ報道のあり方にも一石を投じた地方政治家として名を残しています」(地元紙記者)

 政治家とは実績だ。これだけの実績と名前もある。もしかすると政界復帰も、射程圏内かもしれない。自宅のドア越しにこのことについて聞いてみた。

「……」

 やはり無反応だった。

「もう追い回すの。堪忍したりいな」(住民)

 やはり政治家、今でもがっちり住民の心を掴んでいるようだった。