https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180421-00000001-mai-pol

 ◇柳瀬氏の参考人招致見送り 野党6党も追及戦略描けず

 自民、公明両党が加計学園の獣医学部新設に関し、23日の柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致を見送ったのは、野党が欠席する中で強行して、安倍政権のイメージがさらに悪化することを恐れたためだ。首相官邸は一時「与党だけで参考人招致をしてほしい」と打診したが、与党側から「『政権擁護のお手盛り』と批判される」と慎重論が出た。一方、証人喚問へ攻勢を強める立憲民主党など野党6党も、今後の展望は描けていないのが実情だ。

【愛媛県文書で示された柳瀬氏の助言内容とその後の結果】

 「強引にやるイメージは良くない」。自民党の森山裕国対委員長は記者団に、衆参の予算委員会集中審議と参考人招致を見送った理由を、こう説明した。参考人招致は全会一致で決めるのが慣例だが、野党が20日から審議を拒否し、実施するには与党が数で押し切るしかなくなっていた。

 柳瀬氏は昨年7月にも参考人として加計学園問題で答弁。政府・与党は今回も「証人喚問ではなく参考人招致にとどめれば、何とか乗り切れる」とみている。与党関係者によると、国会で日米首脳会談の成果もアピールしたい官邸は「野党抜き」で集中審議を強行するよう要請。自民党からも「野党が来なくても淡々とやる」(国対幹部)と強気な声が出ていた。

 しかし森友学園などを巡り、首相に近い自民党議員の質問が「政権擁護が露骨すぎる」と批判を浴びたこともあり、公明党は、厳しい質問の少ない与党だけの質疑では、世論の反発を招きかねないと懸念。結局、自公両党は「無理をするのはやめよう」と安全策を採った。公明党の井上義久幹事長は20日の記者会見で、「参考人招致は全会一致が基本だ」と語った。

 一方、野党は麻生太郎副総理兼財務相の辞任や柳瀬氏の喚問を求め、審議拒否に踏み切った。ただ、もともと集中審議を強く要求していたのは野党で、首相らをただす「見せ場」を失ったことも否めない。

 通常の法案審議については、与党は野党抜きでも進める構え。立憲など3党が欠席して20日に開かれた衆院厚生労働委員会は、18日と合わせて10時間、野党の質問時間を空費した。

 立憲の福山哲郎幹事長は「異常事態を整えるのは政府・与党の責任」と反発したが、「追及材料は多いのだから、委員会で議論すべきだ」(民進党の桜井充参院議員)と疑問も漏れる。このため野党側では「十分な質疑時間の確保」などを条件に、集中審議に応じる案も浮上している。【木下訓明、原田啓之、立野将弘】