森友問題が財務省内で燠(おき)のように燻(くすぶ)る折も折、信じ難い醜聞が持ち上がった。あろうことか、省トップ・福田淳一事務次官(58)が酒席でセクハラ発言を繰り返していたというのだ。予算委員会でバタバタの中、「キスしたい」「おっぱい触っていい?」のろくでもなさ。

「取材のため、レストランに2人で出かけた時、食事が始まる前にいきなり抱きついてきました。“Hしよう”“好きだ”って言葉が続く。魚より肉の方が好きみたいで、焼肉やジンギスカンに誘われましたが、加齢臭がひどくって地獄でした」

 と、昨年の出来事を振り返るのは、財務省を担当したことのある女性記者。ここで俎上に載っているのは、他ならぬ福田淳一財務事務次官である。彼が絡んだセクハラ事例は枚挙に遑(いとま)がないのだが、まずは横顔をご紹介しておこう。

「彼は神奈川県立湘南高校から東大法学部を経て、1982年に当時の大蔵省へ入りました。福田と同じ入省年度には、迫田英典、佐川宣寿(のぶひさ)の歴代国税庁長官のほか、片山さつき参院議員がいます。また、98年に大蔵省汚職事件で逮捕された榊原隆(証券局総務課課長補佐)も同期。榊原は大蔵省及び財務省の歴史を通じて、戦後、唯一逮捕されたキャリア職員です。迫田、佐川も森友学園問題でやり玉に挙げられていることを考えると、結果としてこの年次は不出来だったという誹(そし)りは免れないでしょうね」

 と解説するのは、ベテランジャーナリストである。

「入省時、最も出来が良い者は主計局でも文書課、次が秘書課に配属されます。福田がキャリアをスタートさせた総務課は秘書課の次くらいで、体力のある人間が就くところ。つまり、入省時点ではトップの評価を受けていなかった。その彼が、同期の中でトップを走る人間だと知ったのは入省してから5年後くらい。予算編成を担う主計局でも全体のフレームを決めるいわゆる企画の主査というポジションがあり、その末席に名前を連ねていたのです」(同)

 入省後間もなく、主税局の課長補佐時代に結婚。妻との間に子はなく、飼い犬のトイプードルを「クッキーちゃん」と呼び溺愛する。「散歩してると女の子が寄って来るんだ」と相好を崩し、携帯電話に保存した写真を女性記者に見せびらかすのは、いつもながらのパターンである。

◆動物的な勝負勘の人

 差し当たって財務省では、カミ(決裁文書)とゴミの問題で、当の職員らは汲々としているように映る。文書の改ざんに加え、ゴミ撤去費を巡り、財務省から学校法人・森友学園側に口裏合わせを依頼していたことを認めたからだ。更に、籠池泰典前理事長に対し、「しばらく雲隠れするように」と、当時の理財局長である佐川氏が指示したことも明らかになっている。財務省内の声を拾ってみると、

「理財局は地獄ですね。ただ、寝ずに答弁を作ったりというバタバタは予算が通ったので一段落。今は皆、処分がいつあって人事がどう変わるか、ということを考え始めているようです。でも一方で、98年の大蔵不祥事の時と違うのは、他局が割と傍観の態だということ。官房の秘書課が省内調査で巻き込まれていることを除けば、主計局も主税局も“オレたち関係ないよね”という感じです」

 省トップ・福田次官にとっても対岸の火事なのか。

「まあそういうことでしょう。自分に関するリスクは別として、危機を察知する嗅覚が鋭く、対処も迅速です。勉強ができた秀才タイプではなく、動物的な勝負勘の人。麻雀ばかりやってますから、それで鍛えられたんでしょう。でも、そういうこととOB人事以外には関心がありません。予算の詳細について部下を詰(なじ)ることなどもゼロ。もちろん、省内のマネージメントも含めてね。驚くほどですよ。あとよく耳にするのは……」

 と付け足して、

「“ホテル行こうよ〜”とかセクハラしまくってる件ですか? 被害者の会ができるんじゃないですか」

 と、この職員が苦笑するほどで、事実、それは会の結成こそされないまでも、地下茎の如く霞が関にしっかり根付いているのだ。

◆“遊んで捨てられるぞ”

 具体的には、

「“彼氏はいるの?”と聞かれたので1年ほど付き合っている人がいると答えると、“どのくらいセックスしてるのか?”と聞かれ、相手が電通マンだと知ると、“それはお前、遊んで捨てられるぞ”と暴言を吐かれました」(大手紙記者)

「深夜によく電話があって、ネチネチ過去の男性のこととか聞かれて、トホホです」(テレビ局記者)


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デイリー新潮
2018年4月19日号掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/04180803/?all=1