報道ベンチャーのJX通信社では、3月10日・11日から4月14日・15日にかけて、5週間6回連続となる全国世論調査を行った。この結果、安倍政権の支持率は前週比5.4ポイント下落して33.5%となった一方、不支持率は6.3ポイント増の61.8%に達した。調査の日程や方式の概要は末尾に記載した通りだ。

■「首相案件」文書報道で過去5週では最大の支持下落に

JX通信社では、朝日新聞による財務省決裁文書改ざん問題初報道以降(3月3日)以降の10日・11日から、毎週末に連続で独自の全国世論調査を実施してきた。安倍政権の支持率は、決裁文書改ざん報道後に報道各社の世論調査で軒並み10ポイント前後の急落が報じられているが、今回の連続調査はその後に開始したものだ。

3月10日・11日時点調査で「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」と答えた人の合計は43.3%、対して「どちらかと言えば支持しない」「全く支持しない」と答えた人の合計は48.1%だった。しかし、この週末(4月14日・15日)の調査では、支持が33.5%に留まったのに対して、不支持は61.8%に達した。とりわけ、直近1週間の支持の下落は5.4ポイントに上り、過去5週間で最大となっている。これは10日に朝日新聞が報道した、柳瀬元首相秘書官の「首相案件」発言を記録した文書の問題が影響しているとみられる。

今回の調査結果の特徴は、これまでのような「復元」の兆しが見えないなかで、更に支持が下落していることだ。安倍政権の支持率は、これまでにも安保法制などの重要局面で急落することがあった。しかし、その後は外交などを材料に支持率が再度上昇する「復元力」を見せてきた。しかし、今回は決裁文書改ざん問題のダメージが拭えないなかで、防衛省の日報問題や「首相案件」文書の報道とネガティブな材料が絶えない状態だ。

政権不支持の内訳を分解すると、4月14・15日時点では「全く支持しない」とする強い不支持層が39.8%で、「どちらかと言えば支持しない」とする弱い不支持層(22.1%)を大きく上回っている。3月10日・11日時点では強い不支持層は27.7%に留まっていたため、そこから12ポイント以上積み上げたことになる。

強い不支持層が急増している要因は、不支持の理由から読み取れる。4月14・15日の調査で「全く支持しない」「どちらかと言えば支持しない」と答えた人に、政権を支持しない理由を聞いたところ「人柄を信頼していないから」が51.0%と半数を超えた。2位の「政策を支持していないから」を大きく上回っている。

3月10・11日調査時点でも不支持の理由のトップは「人柄を信頼していないから」だったが、この時は不支持層の37.8%に留まっていた。この5週間ほどで、世論の安倍首相自身への信頼の低下が数字にはっきりと反映されている。

■公明党支持層の政権支持率が半数を割る

更に特徴的なのが、与党支持層にも変調が見られることだ。

連立与党に参画する公明党の支持層で、安倍政権を「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」と答えた人が凡そ4割に留まった。3月10・11日調査時点では7割超だったが、かなり減らしている。こうした情勢が、公明党と安倍首相との距離感に今後影響してくる可能性がある。

一方、自民党支持層に占める政権支持率は依然8割前後を維持している。だが、その自民党支持層でも安倍政権を「強く支持する」としたコアな支持層は3割強に留まっており、党内政局の結果首相に対抗する有力な候補が現れた場合などは、残り5割近い「弱い支持層」を中心に「ポスト安倍」にシフトする可能性がある。

■安倍総裁再選「全く支持しない」が45%に

今年9月に行われる自民党総裁選についても聞いた。

4月14・15日調査で、安倍首相が総裁選で再選されることを支持するかどうか聞いたところ「全く支持しない」「どちらかと言えば支持しない」と答えた人の合計は63.3%に達した。一方、再選を「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」と答えた人の合計は31.1%に留まった。

3月10・11日調査時点では、再選支持が38.1%、不支持が53.2%だったことからすると、総裁選で3選を目指すとみられる安倍首相に対する世論は、この1ヶ月強でかなり厳しくなったと見るべきだ。


詳しいグラフなどの詳細はWebで

JX通信社
4/16(月) 9:34
https://news.yahoo.co.jp/byline/yoneshigekatsuhiro/20180416-00084028/
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