https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180413-00055245-gendaibiz-pol

朝日は何が言いたいのか?

 森友学園や陸上自衛隊のイラク日報問題に加えて、加計学園問題が再燃した。朝日新聞が4月10日付朝刊1面トップで「柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が2015年4月、愛媛県職員らと面談した際に『本件は首相案件』と述べた」と報じたのだ。これは大問題なのか。

 まず、朝日が報じた内容をおさらいしよう。

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そもそも国家戦略特区は「首相案件」

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頭ごなしに否定するのは悪手だ

 安倍首相は昨年1月まで「(加計学園が)手をあげているのを知らなかった」という点はどうか。首相は4月11日の衆院予算委員会で「知った日にちはすでに答弁した通りだ」と述べて、昨年1月20日に知ったという答弁を維持した。

 「知ったのがいつか」という話は本人にしか分からない。ただ、私はいつだったにせよ枝葉末節と思う。そもそも、加計学園をめぐる疑惑の本筋は何だったのか。加計学園に「安倍首相が特別な便宜を図ったかどうか」である。そこは森友学園問題と同じだ。

 この本来の疑惑については昨年、元愛媛県知事の加戸守行氏や国家戦略特区ワーキンググループ委員らの国会証言によって首相の関与が完全に否定されている。今回の文書でも、首相が便宜を図った具体的な形跡はうかがえない。

 むしろ、私は「これは首相案件」という説明を、安倍政権が頭から否定し定着してしまう事態を懸念する。野党や朝日などが当初「加計ありきではないか」と指摘したとき、政権側が「加計ありきではない」と否定してしまった失敗があるからだ。

 この点は昨年7月28日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52418)や四国新聞のコラム(https://www.shikoku-np.co.jp/feature/hasegawa_column/20170727.htm)で指摘したように「加計ありき」だったのかと問われれば、真実は「加計ありき」に決まっている。

 いくら愛媛県や今治市が「獣医学部を誘致したい」と願っても、具体的な事業候補者のあてがなかったら、特区申請しても意味がないからだ。政府が認めたところで何も動かない。だから、加戸氏は「地元は最初から加計ありき」だったと国会で証言した。

 しかし、だからといって「加計で決まり」だったわけではない。特区が認められ、他に事業希望者が出てくれば当然、そこも公平に審査する。ここがポイントなのだ。まして「加計ありき」と「首相が便宜を図った」という話は、本質的にまったく異なる。

 政府は最初に「『加計ありき』だが『加計で決まり』だったわけではない」と説明すべきだった。だが、最初に「加計ありき」の言葉を否定してしまったために、加計学園という候補の存在も否定するはめに陥り、問題が大きくなった。ディフェンス・ライン(防御線)の設定を間違えたのである。

 今回も「首相案件」という言葉をあまり強く否定すると、同じような隘路に立たされてしまう心配がある。安倍首相は4月11日の衆院予算委員会で「柳瀬氏を信頼している」という以上の答弁はしなかった。

 ただ、あえて説明するのであれば、安倍政権は「もちろん初めから首相案件ですよ。それが何か? と答えるのが正解である。もともと揚げ足取りの政権攻撃にすぎないのだから。