神戸新聞NEXT 2018/4/9 20:25
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201804/0011149327.shtml

 戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で共産党員らが職場を追われた「レッドパージ」の対象となり、
国に名誉回復と補償を求めて国賠訴訟を起こした後、敗訴が確定した神戸市西区の大橋豊さん(88)が9日、
神戸司法記者クラブで会見し、11日に大阪高裁へ再審を申し立てると明らかにした。

 大橋さんは1950年8月、勤務先の旧逓信省神戸中央電報局を免職された。レッドパージで
企業を解雇された同志2人と2009年、神戸地裁に提訴。地裁と二審大阪高裁は「レッドパージは
GHQの指示によるもので超憲法的」として国の救済義務を認めず、最高裁も13年に原告側の上告を棄却していた。

 今回、大橋さんと弁護団は、高裁判決が「日本政府が実質的にレッドパージを主導した場合、
政府の救済義務が生じる」とした点に注目。各種資料から「政府は共産主義者らを社会から排除する政策を
強力に進めていた。レッドパージはGHQの指示でなく、政府が主導して実施した」と主張し、
国の義務を認めない高裁判決は誤りと訴える。

 大橋さんは「免職後、家族を泣かせ、本当に悲しい思いをした。私も高齢で時間は限られているが、
あきらめない。真実を明らかにしたい」と話した。
(小林伸哉)