産経WEST 2018.4.8 10:30
https://www.sankei.com/west/news/180408/wst1804080001-n1.html


「とにかく、すごい計画だ」

 シンガポールのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)視察で、開業目前のマリーナベイ・サンズの
工事現場を見て帰国した大阪府知事(当時)の橋下徹氏は、興奮した様子で松井一郎氏(現府知事)にこう語った。
平成22年1月のことだ。

 橋下氏を慰労しようと松井氏ら数人が集まった席で、IRの魅力を語る橋下氏は冗舌だった。
この会話を機に、IRを誘致しようとの橋下氏と松井氏の思いが重なり、大阪の未来図が動き出した。

 当時は現在のような訪日外国人客もおらず、関西地域は活気を失っていた。しかも、放漫行政で大阪府と大阪市は
11兆円超の借金を抱える状態だった。

 大阪湾臨海の夢洲(ゆめしま)、咲洲(さきしま)、舞洲(まいしま)。松井氏はこれらベイエリアの人工島を
“負の遺産”と考えていた。


五輪招致に失敗

 バブル期の昭和63(1988)年に大阪市は3島を新都心として開発する「テクノポート大阪基本計画」を策定。
公費約7千億円をつぎ込んだが、バブル崩壊で空き地ばかりが残り、打開策の五輪招致にも失敗したからだ。

 しかし、夢洲は梅田など都心部から10キロ余りと近く、170ヘクタールもの用地を使える。IRならば
事業者が施設整備を負担し、さらなる民間投資を呼び込んで地域を開発できる。松井氏は「ベイエリアを有効な資産に
作り替える」という強い決意を胸に秘めた。


産業・観光の拠点

 府知事としてIR誘致に本腰を入れ始めた松井氏は、平成24(2012)年7月にシンガポールの
マリーナベイ・サンズを訪れた。目の前に広がる光景は、橋下氏から聞いたイメージをはるかに上回るものだった。


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