日本経済新聞 2018/4/7 10:51
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2912459007042018000000/


 【シリコンバレー=白石武志】トランプ米政権が米国への輸入車のみを対象とする環境規制の強化を
検討していることが6日、明らかになった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版が報じた。
輸入車の競争力をそぐとともに、米国での自動車生産を促す狙いとみられる。実現すれば、
米国を収益源とする日本車メーカーにも影響を与えそうだ。

 WSJによると、トランプ氏が米環境保護局(EPA)などの関係機関に規制強化案の策定を指示した。
米国外から輸入される車の排ガス基準を厳しくすることなどを検討している。ただ、法的な整合性を
確保するのに手間取り、構想の策定は遅れているという。

 輸入車だけを対象に環境規制が強化されれば、厳しい基準を達成するために輸入車の製造コストが上昇し、
米国内で生産される車の価格競争力が相対的に高まることになる。ただ、自動車産業は環境規制の強化に
伴って技術革新を遂げてきた経緯があり、今回の措置は長い目で見れば米国の自動車産業の技術力を
低下させる恐れもある。

 EPAは4月に入ってオバマ前政権が定めた自動車の燃費基準を大幅に緩和すると発表したばかり。
国産車に限って優遇する保護主義的な手法には米国外の自動車メーカーの反発が予想されるだけに、
政権内には「あまりに過激な政策だ」と指摘する声もあるという。