https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180404-00024839-president-pol

はたして「総理の意向」はあったのか。「森友文書問題」で当時の財務省で理財局長だった佐川宣寿氏は、国会で安倍首相や昭恵夫人の関与を否定した。「疑惑は深まった」とするメディアも多いが、元理財部長の高橋洋一氏は「疑惑と思惑を取り違えたおかしな議論が続いている」と指摘する。真実はどこにあるのか――。

■元理財部長である筆者にも取材が殺到

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 森友学園問題が最初に報じられたのは2017年2月。当時から多くのマスコミは、「国有地の大幅値引きには安倍昭恵夫人の関与があり、その陰では『総理の意向』が働いていた」というストーリーを展開してきた。そのストーリーに沿って、設立予定だった小学校の趣意書に書かれていた校名が「安倍晋三記念小学校」であったなど、数多の報道がなされた。

 たとえば、この趣意書に書かれていた小学校名が「安倍晋三記念小学校」ではなく、実際には「開成小学校」であったことをご存じだろうか?  この情報は昨年12月22日付『朝日新聞』で報じられたが、それまで「安倍晋三記念小学校」という誤った情報は半年以上も放置され、それが謝罪とともに訂正されることもなかった。

■実態は「近畿財務局のチョンボである」

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■若者が右傾化したから安倍政権は選挙で勝った? 

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■この国の「おかしな議論」を助長する人たち

 無知や不勉強や悪意で「おかしな議論」をしている論者のなかには、学界や業界内で権威とされ、社会に対して影響力を及ぼしている人も多い。筆者の得意分野でもあるマクロ経済分析に関しても、間違った分析と当たらない予測ばかりを繰り返している御用学者やエコノミストが山ほどいる。間違っても謝らない専門家たちと、彼らを都合よく使い続けるマスコミが、この国の「おかしな議論」を助長している。

 しかし経済政策にしても、内政・外交にしても、「おかしな議論」に振り回され、時間を浪費しているうちに、ほんとうに行うべき真の議論が後回しにされている。北朝鮮問題などの国際情勢一つとっても、目まぐるしく状況が変わるなかで、「おかしな議論」に足をすくわれていては、間違いなく日本の国力は弱退化してしまう。

 筆者は海外のメディアも日常的にチェックしているが、日本が抱える問題について、日本のマスコミ以上に的確な論考が報じられるケースも少なくない。たとえば、昨年10月の衆議院選挙で安倍政権が勝利した理由にしても、マクロ経済理論の裏づけを知っている欧米メディアは「金融緩和が継続された結果である」と正しく分析していた。一方、日本では「若者が右傾化した結果」と論じた新聞まであった。見識を疑わざるをえない。拙著でも分析しているように、内閣府の「外交に関する世論調査」を“思惑”なしにきちんと分析すれば、「若い世代は右傾化していないが、自民党支持が強い」という結論を、きちんと導くことができる。

 フェイクを見破るのは、決して難しいことではない。正しい前提から始めれば、誰でも「おかしな議論」を排除し、正しい未来を見通すことができるはずである。