毎日新聞2018年3月13日 19時36分
https://mainichi.jp/articles/20180314/k00/00m/040/050000c

地域の若手経営者らでつくる公益社団法人「日本青年会議所(日本JC)」がツイッターで日本の一部メディアや中国、韓国を中傷する投稿を繰り返して炎上し、謝罪に追い込まれた。日本JCは「憲法改正の議論の活性化を目的とした企画だったが、担当者が誤った稚拙な手法を選択した」と釈明する。しかし、実際のツイートは、改憲論議の盛り上げという狙いからはほど遠い内容だった。【福永方人/統合デジタル取材センター】

中国、韓国をミサイル爆撃?
 問題のツイートは1月以降、日本JCが開設したアカウント「宇予くん」から投稿された。

 <中国は世界の嫌われ者。韓国は中国の舎弟。日本はこのバカ二国と国交断絶、もしくはミサイル爆撃したほうがいいど>

 <反日洗脳偏向報道機関のNHKだど。NHKを見ると頭がバカになるど>

 このほか野党を「アホ」とけなしたり、精神障害を差別する言葉で朝日新聞を形容したりする投稿も。

 「右翼」を連想させるアカウントのプロフィール欄には「保守思想、趣味は筋トレ、好物は肉」とのみ書かれ、JCとの関係には触れていなかった。だが、改憲派を増やす戦略をまとめたJCの内部資料がネット上に流出した。「宇予くん」の項目には「憲法改正をはじめとする歴史や愛国心など保守的なことを面白くつぶやく」「対左翼を意識し、炎上による拡散も狙う」(原文ママ)とある。

 日本JCは2月28日、公式サイトに「お詫(わ)び」を掲載。翌日、事実関係の調査結果を公表した。「宇予くん」と日本JCの関係を伏せた理由について「特定団体からの発信だと個人レベルでの議論が活性化しづらいとの考えから、個人からの発信という内容で企画した」と説明。「個人アカウントを使用したことで内部のコンプライアンスチェックが行き届かなかった」などと分析し、再発防止策は「コンプライアンス担当が入念に審査する」とした。「宇予くん」のアカウントは既に削除されている。

麻生財務相ら大物政治家を輩出
 JCは全国に地域団体があり、地場企業の後継者が多数参加。40歳までの年齢制限を設け、「『和』の精神性が導く 愛と希望溢(あふ)れる国 日本の創造」を理念に掲げて活動する。麻生太郎財務相や森喜朗、菅直人、鳩山由紀夫元首相ら有力政治家を輩出してきた。2012年には保守色の強い改憲草案を発表した。

 JCに詳しい法政大の佐賀香織・特任研究員は「10年代に入って右傾化している印象だが、『宇予くん』のキャラクター設定や言葉遣いは幼稚で、真面目に改憲の議論を活性化させたいのか疑問だ。経営者の団体なのにコンプライアンスが機能していないことを露呈し、全国の会員にとってイメージダウンになるだろう」とあきれている。