勝海舟「憂国の士とかいうのがいて、これが国を滅ぼすのだ」

幕末、明治維新頃には口を開けば愛国だ憂国だとうるさい連中が沢山いました。
勝海舟はそういう連中は自分だけが愛国者だ、自分ほど国を憂うるものはない、といい気になっている、
こんな奴らが国をつぶすのだ、と、彼一流の皮肉で「なあに、憂国の士というのがいて国を滅ぼすのだよ」と
言ったそうです。

昭和に入り、大日本帝国が世界の五大軍事大国・三大海軍国の一つになり、世界との関係が
厳しくなってきた頃、やはり「憂国の士」が沢山出てきて「愛国」「憂国」を叫び始めた。
山本五十六は愛国心にかけては誰にも負けませんでしたが、世界の情勢も日本の実力も理解しないで
「日本は神の国」「日本は世界最強の国」「日本人は世界一優秀」などとしゃべりまくる連中を嫌っていました。

山本がロンドンでの海軍軍縮会議に出かける時、ある男が船室まで乗り込んできて彼を起立させ、
激しい調子で愛国的な文章を読み上げた。山本は苦りきった顔をしていたそうです。
「、、、なんとか同盟とかなんとか連合会とかの落ち着かぬ連中が決議文とか宣言書とかを
読んだのは不愉快だった。あんな連中が憂国の士とは誠に危ない心細い次第だ」、と
堀悌吉への手紙に書きました。

また、山本は愛国、愛国と騒ぐ「憂国の士」を批判して、「扼腕憤激、豪談の客 も、多くは、これ生を貪り、
死を畏るるの輩」と言っています。自分は安全なところにいて、勇ましい事を言って他人をけしかける
連中の事です。今でもいますね。

どこの国でも国民は自分の国を愛しています。その表現の仕方が違うだけでしょうね。
しかし、自分ほど国を愛している者はほかにいない、オレのやり方以外に愛国はない、ほかの連中は
みんな非国民だ、などと言い出したら、それこそ「憂国の士というのがいて国を滅ぼす」ことになりかねない。
愛国は黙々と行うものではないでしょうか、、、

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1067839230
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180226-00054511-gendaibiz-bus_all