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鉄壁•菅官房長官に鋭く斬り込んだ話題の記者•望月衣塑子氏と日本の政治の裏の裏まで知る、元経産省官僚•古賀茂明氏。空気を読まない二人が首相夫人の疑惑に切れ込む! 以下、新刊『国難を呼ぶ男! 安倍晋三 THE 独裁者』よりお届けする。

■古賀茂明が断言する! 昭恵夫人の関与

望月 安倍昭恵夫人の森友問題への関与。安倍首相や首相官邸は必死になって、否定しています。首相がムキになって否定する答弁は、かえって「関与があったんじゃないの」という、国民の疑いを深める結果を招いているように思うのですが。

古賀 安倍政権や財務省側に何ひとつ問題はなかったのか……。私の解釈では、絶対それはない、関与はあったと考えます。

望月 古賀さんが「関与はあった」と思う根拠は何ですか? 

古賀 役人の感覚ではどうにも腑に落ちないところがいくつかあるのです。最大限好意的に見れば、たとえば、贈収賄でなかったと言えるかもしれません。証拠がないから。しかし、寄付の100万円も渡していなかったかもしれないなど、彼らにとって好意的な解釈をしていっても、どうしても腑に落ちないところがあるんです。

「これはやはり、おかしい」と、ピンときたのは、籠池泰典氏が証人喚問で経緯を語ったときです。籠池氏は昭恵夫人の携帯に連絡して国有地の「定期借地契約の延長」を依頼し、後日、経産省から出向している昭恵夫人付の官僚・谷査恵子(たにさえこ)氏からファックスで回答を受け取っています。谷さんはこの案件を、財務省の財産審理室長に直接伝えて、向こうから返事をもらったことになっている。これは、役人の感覚では絶対ありえないことなんですよ。

望月 絶対ありえない? 

古賀 なぜかというと、省庁のなかには暗黙の序列があるからです。予算を握っている財務省は、省庁の頂点。ほかの役所に比べるとワンランク格上なのです。最も端的に表れるのは、予算の復活折衝のときです。

 たとえば、主計官というのは、財務省主計局のなかの一課長ですが、他の省庁から交渉に行くのは課長であれば誰でもいいわけではない。各局の筆頭である総務課の課長でなければいけないのです。そして、主計局の「次長」は、ほかの省庁の「局長」と同等です。

■なぜノンキャリの谷さんが…

望月 外部からは見えないけれど、揺るぎない序列があるんですね。そうです。そしてもう一つ。これは財務省だけではないけれども、官僚には企業でいう総合職と一般職にあたる、キャリアとノンキャリア(ノンキャリ)
という職制があります。実質的なことは全部幹部候補生のキャリアがやります。

 国有財産審理室長は財務省のキャリア。一方、谷さんは、経産省のノンキャリです。だから二人の間には財務省と経産省、キャリアとノンキャリという二重のハードルがあって、まず、普通では直接話せない相手なわけです。谷さんが国有財産審理室長と直接やりとりすること自体がありえない。これは絶対にないですよ。せいぜい、経産省の会計課長や総務課長がいるときに、説明補助者として後ろにいて、何かわからない細かいことを聞かれたら答えるぐらいで、名前を名乗ることすらないわけです。

望月 つまり、二人が対等にやりとりするのは相応の理由がある……。

古賀 そういうランクの差があるにもかかわらず、ノンキャリの谷さんの問い合わせに、財務省のキャリアが答えるというのは、普通は考えられません。しかし実際、谷査恵子さんは、田村嘉啓国有財産審理室長に電話をかけたようです。

 これは共産党の宮本 岳志 (みやもとたけし)衆議院議員が、田村さん本人から直接聞き取り調査をしてわかった事実です。谷さんはまず「安倍昭恵付の谷査恵子と申します」と身分を名乗ってから「安倍内閣が一億総活躍ということで女性を活躍させるため、介護施設に国有地を貸し付けている場合、その賃借料を10年間半額に負けるという政策を行っています。同じことを学校に適用できないか」と打診し、またこれが「籠池さんからの願いである」ということも付け加えたのです。
(第41回メディアを考えるつどい「森友事件の政府とメディアの幕引きを許さない」西宮市立勤労会館大ホール2017年6月10日より)

(略)