日刊ゲンダイ 2018 / 02/08

アベノミクスのペテン相場の化けの皮がとうとう剥がれたようだ。
米国の長期金利の急上昇に端を発した世界同時株安は 東京市場を大きくのみ込み 6日の日経平均は一時 前日比1603円まで下落。7日は 前場こそ750円近くまで上げ 幅を広げたが 後場はつるべ落とし。
結局 前日比35円高とスズメの涙の小反発だった。NYダウが先立って567ドル高と大幅反発したのとは大違いだ。

日銀は今週に入って連日ETFを大量購入。5、6日の2日間の購入額は1462億円に上るが 焼け石に水だ。日経平均は先月23日に2万4129円34銭まで上昇し
「26年ぶりにバブル崩壊後の高値を回復」と市場は大ハシャギだったが いともあっさりと年初からの上昇分をすべて吐き出してしまった。

7日の終値ベースの東証1部全体の時価総額は約649兆円。先月末時点の約682兆円からたった1週間で約33兆円もの「富」が損失したことになる。
それもこれも「日経平均は今年末には3万円台」「20年の東京五輪までに4万円台突入」などと浮かれた声に隠されていた アベノミクスの負の側面が一気に噴出した結果である。

本来 株価は経済を映す鏡といわれてきたが 今はその機能をまったく果たしていない。
黒田日銀の異次元緩和で市場がいびつに歪められてしまったからだ。経済アナリストの菊池英博氏はこう指摘する。
「黒田日銀は 13年4月に異次元緩和を始めて以降 マネタリーベース(資金供給量)を約340兆円も増やしました。
これがすべて日本で使われていれば マネーストック(国内で使われている通貨)も同額以上増えるはずですが、その増加額は約179兆円に過ぎません。
両者の差額である約161兆円は海外に流れて投機マネーに使われ 日本をはじめ 世界規模の株高の“タネ銭”に消えたのです。
しかも、黒田日銀は年間6兆円規模のETF購入で日本の株高を支え続け 今や実質的に大半の上場企業の大株主に君臨しています。
実体経済を反映しない相場は 投資家心理に極端に左右されてもろい。
『 いつまで日本株は上がるのか 』と疑心暗鬼となっていたところに NYダウの暴落が直撃。東京市場はあっけなくクラッシュしたのです 」

官製相場のマヤカシで膨らみ続けた安倍バブルは もろくも一瞬で砕け散ったのだ ...