2018年2月7日 朝刊 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201802/CK2018020702000150.html

河野太郎外相は六日の閣議後の記者会見で、米政府の新たな核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」が包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を否定したことについて「非常に残念だ」と語った。NPRが日本を核で守る方針を明示した点は「高く評価したい」と明言した。唯一の戦争被爆国として核廃絶・核不拡散を訴えながら、米国の核抑止力への依存を鮮明にする姿勢の整合性が問われそうだ。 (大杉はるか)

 CTBTは、核兵器の拡散防止と核軍縮に向け、すべての核実験を禁止する内容。一九九六年に国連で採択され、翌年日本も批准したが、発効に必要な米国や中国が批准せず未発効のままだ。NPRも「批准を支持しない」とした。

 河野氏は記者会見で、昨年八月にティラーソン米国務長官にCTBT批准を要請したことに触れ「これからも努力を続けたい」と強調。一方で、北朝鮮の核ミサイルの脅威を挙げ「平和な暮らしを守らねばならない政府として、NPRを評価する」と語った。

 自民党幹部は「核廃絶を目指すことは日本にとって大事だ」と指摘。河野氏の発言に「米国追随ではいけない」と苦言を呈した。

 NPRは、国連で昨年七月に百二十二カ国の賛成によって採択された核兵器禁止条約についても、「非現実的な核廃絶の期待」に基づき「国際社会を二極化し、核不拡散を阻害」していると批判している。

 日本は同条約には署名せず「現実的、実効的措置」として、CTBTの早期発効などを求めていく方針を示してきた。安倍晋三首相は二日の衆院予算委員会で「核兵器国と非核国の橋渡し役をする」と説明したが、現状ではその役割は果たせていない。