安倍晋三首相は30日の衆院予算委員会で、自民党内の憲法改正議論をめぐり9条2項の削除論があることについて「2項を変えることになれば、書き込み方でフルスペック(全面的)の集団的自衛権が可能になる」と述べ、否定的な見方を示した。さらに、「(2項を維持したまま自衛隊の存在を明記する)私の提案では2項の制限がかかる」とも語り、2項を維持すれば集団的自衛権は現行と同じように一部容認にとどまると強調した。

 一方、自民党の憲法改正推進本部(細田博之本部長)は31日に全体会合を開き、議論を再開する。ただ、30日の推進本部の執行役員会は、石破茂元幹事長が9条2項を削除する平成24年の党憲法改正草案に関する詳細な説明を求めて紛糾。31日の全体会合は大規模災害などに対応する緊急事態条項が議題となるが、意見集約は難航しそうだ。

 自民党の昨年12月の改憲4項目に関する論点取りまとめでは、首相提案と2項削除論の両論が併記された。党内は首相提案の支持が多いが、公明党が慎重姿勢だ。また、緊急事態条項でも「私権制限」に公明党や野党の反発が強い。

 公明党の山口那津男代表は30日の記者会見で「自民党は自民党で公明党は公明党として、これから党憲法調査会で考えていく」と述べた。公明党は当初、1月中に改憲4項目について党内議論を開始する方針だったが、開催の時期すら見通せない。

http://www.sankei.com/smp/politics/news/180130/plt1801300052-s1.html