2018.01.25 11:00 NEWSポストセブン
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2013年に成立した改正労働契約法により、2018年4月から、累計で5年を超える有期契約社員は、無期契約に変更しないといけなくなる。そのため、「2018年には“無期契約社員”が大量発生することが予想される」というのは、経済アナリスト・森永卓郎氏だ。ただし、「それによって契約社員の待遇が改善されるとは限らない」ともいう。どういうことなのか、以下、森永氏が解説する。

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 まず、契約のスタートから累積5年という条件があるので、2018年4月からすべての有期契約社員が無期契約社員になれるわけではない。また、半年間のインターバルを置いて再契約すれば、累積期間はリセットされてしまうため、無期契約社員を増やしたくない大手企業などでは、その手法で逃れるところが多いと思われる。

 しかし、採用難が深刻な中小企業は、累積5年となる前にインターバルを置きたくても、一度切ったら再び契約を結んでくれない懸念がある。そのため、特に中小企業では、2018年4月から無期契約社員が劇的に増えると思われる。

 ただし、雇用契約が有期から無期に変わるだけで、賃金が増えるケースがほとんどないと予想される。その結果、雇用条件は安定するが低賃金のままという「低賃金・安定雇用」の時代が2018年から到来するということだ。とはいえ、有期契約から無期契約に雇用が安定することは、もちろん悪いことではない。たとえ賃金が上がらなくても、工夫次第で幸せに暮らすことは可能だ。

 住まい方でいえば、私は富山県のケースを参考にすればいいと、これまでも提唱してきた。富山県では大家族で暮らす世帯が多く、1人当たりの所得は決して高くないが、家族の中で働ける人はみんな働いているために世帯としての全収入は高く、豊かな暮らしを実現している。

 この例を見習い、たとえば親がすでに郊外に住んでいれば、同居は無理にしても、子供たちが親の近くに移り住むようにすれば、家族全体として無駄な支出を抑えることが可能になる。昔の大家族で暮らすパターンに戻すことが、家計を効率化させる最もいい手段なので、可能な人は一考の余地ありだろう。

 そうして、自分の自由時間を失うまで働かずに、自分のやりたいことを優先して暮らす。たとえば、リタイアしてから自分のオリジナルの紙芝居を作り、幼稚園や老人福祉施設などに行って、それを上演しているという人がいる。もちろん、ギャラはもらえないが、みんなが自分のステージに感動してくれると、物凄くうれしい気持ちになり、生きがいを感じるという。

 また、必死に働いて貯めたお金を切り崩しながら、副業で地下アイドルをやっている女性の話を私は聞いたことがあるが、彼女はギャラなしでも、お金に変えられぬ充足感を得ていると語っていた。

 こうした例から、そこそこの蓄えがあって、しかも自分を必要としてくれる場が持てれば、人は幸せになれるのではないかと私は考えている。