慰安婦問題をめぐる韓国政府の対応が明らかになりました。
今までの日韓合意は否定しないものの、実質的にはその変更を迫るもので、大変遺憾なことだと思っています。

さすがに、日韓両国政府で公式に合意したものであり、それを表立って否定することはしていませんが、
「真実を無視した場所で道を作ることはできない。誤った結び目はほどかなければならない」としたうえで、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、
「日本が真実を求め、被害者おばあさんに対して誠意を尽くして謝罪し、それを教訓として再びそのようなことが起きないよう国際社会と努力するとき、
おばあさんも日本を許すことができ、それが完全な解決と考える」と述べておられます。

もちろん、過去に行ったことについて、両国政府の合意だけで、すべてが解決されるというわけではありません。感情の問題は残ります。

しかし、政府として、一応の決着をつけるということで、日韓合意ができていたはずです。
そして、現実に日本が拠出した10億円を財源として、47人中36人の慰安婦の皆さんがお金を受け取られました。

大統領は、日本が拠出したお金でそのような「癒やし」のための措置がなされている事実をおばあさんたちは受け入れることができない、
したがって、我々政府のお金でその「癒やし」の措置を行う、と質疑応答の中で言われています。

しかし、36人のおばあさんたちがお金を受け取られたのは、ただ単にお金の問題ではないはずで、
日本政府が拠出したお金だから受け取ったおばあさんたちもいるはずです。
それを一刀両断に「受け入れることができない」というのは、一方的に過ぎるのではないでしょうか。

そもそも、かつて慰安婦問題の解決に、日本国民の寄付を募って拠出したときに、日本政府がきちんとお金を出すべきだという批判が韓国にありました。
今度は、日本国政府のお金だから駄目だということでは、一体どうすればいいのかと、私自身も困惑をしています。

隣接する民主国家として、北朝鮮問題をはじめ、さまざまな協力が求められる両国関係であるにもかかわらず、
日本が受け入れることができない内容を伴う今回の措置は、決して賢明なものとは言えません。
日韓関係に長く携わってきた者として、非常に残念に思います。

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