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■ 横田めぐみさんを1度だけ目撃

「彼が何という名前だったのかは分からないが、軍事大学で日本語を教えていた。ある時、彼は私にこう話した。“自分は、本当に小さな子供の時にここにさらわれてきたんだ”と」

 その男性以外にも、北朝鮮ではたくさんの日本人を見たと振り返る。

「横田めぐみさんには一度だけお会いしたことがある。場所は平壌にある“楽園百貨店”だった。その時、私は妻と娘と一緒だった。
私はめぐみさんのことを知らなかったが、妻が“めぐみさんよ”と教えてくれた」

 それは、80年代半ばのことだった。また、彼は86年、有本恵子さん石岡亨さん夫妻にも同じ楽園百貨店で会っている。

「日本に入国してから写真を見て、それが有本さんと石岡さんだったことが分かった。有本さんについてはこんな話も聞いた。
私と同じように北朝鮮に入った米国人の妻で、レバノン人のシハムという女性がいた。彼女が妊娠して入院した時、同じ病室に有本さんもいたらしい。
で、有本さんが、“私、拉致されたのです”と打ち明け、シハムも“私もそうなんです”と彼女に話したそうだよ」

そしてジェンキンスさんは北朝鮮での忌まわしい記憶を辿っていく。