https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201712120000148.html
2017年12月12日9時35分

 ★9日、シカゴで講演した米国のオバマ前大統領は「民主主義の庭園の手入れが必要。そうしなければ物事は極めて急速に崩れる。我々はその事態が起きている社会を目撃している」と今までもそうだったように直接的ではないものの、トランプ政権を批判した。またナチス・ドイツに触れ、「1920年代や30年代に音楽や芸術、文学に満ちあふれて、華やかさが永久に続くと思われたが、その後、6000万人の人々が死に、全世界が混沌(こんとん)に陥った。自己満足はナチス・ドイツの隆盛をもたらした」とし「物事を注視し、投票しなければならない」と続けた。

 ★米トランプ大統領が6日、エルサレムをイスラエルの首都に認定すると表明したことを受けて、各国から批判や懸念の声が上がっているが、オバマも現職時代はトランプと同様の発言をしていたし、米上院議会の9割はこの案に賛成している。米国はユダヤ人を批判することが差別主義につながると恐れ、協調すると政治資金の恩恵が受けられると思うようだ。米国のイスラエルロビー恐怖症の表れだ。その中でドイツ政府の対応は注目だ。戦後ドイツはナチスによるホロコーストの歴史から、イスラエルに対して友好的で慎重に対応してきたが、ザイベルト報道官は「エルサレムの位置づけは(イスラエルとパレスチナの)『2国家共存』に関する協議の中で取り決められるもので、独政府はトランプの姿勢を支持しない」とする独メルケル首相の声明を発表している。

 ★独ガブリエル外相は「火に油を注ぐ行為だ」と国際情勢より選挙公約の実現を優先したと批判した。欧州の同盟各国も大筋トランプ不支持の声明を出しているが、我が国は何も言えないとは外交敗北以外の何物でもない。(K)※敬称略