2017年12月8日 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/219140/1

特別国会は9日閉会するが、森友問題同様、獣医学部新設をめぐる加計問題も年またぎで持ち越される。「建築費水増し疑惑」「バイオハザードリスク」「石破4条件無視」などがウヤムヤのままだからだ。

 7日は、参院の文科・内閣委連合審査会で民進党の白真勲議員が、先月14日の認可以前に韓国で生徒募集が行われていたことを問題視。「大学の設置等に係る提出書類の作成の手引(平成29年度改訂版)」によると「認可前の生徒募集は行えない」とされているが、文科省は「認可前に募集することは想定していない」と意味不明な答弁を繰り返した。

 加えて、獣医学部新設の前提となった「石破4条件」について、民進党の杉尾秀哉議員が「鳥インフルエンザを実験できるような施設がない」「実際には普通のレベルの大学と同じ研究しかできない」――など、大学設置・学校法人審議会の専門委員の証言を紹介しても、文科省は「(4条件は)満たされている」の一点張り。要するに「既存の獣医学部では対応できない学部に限り新設を認める」とする条件さえクリアされたのか疑問のままなのだ。

■建築費水増し疑惑の行方は……

「建築費水増し疑惑」については、今治市を相手取った住民訴訟の第1回口頭弁論が今月20日に行われる予定だ。原告のひとりである「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の黒川敦彦氏がこう言う。

「最大の争点は、市が隠してきた獣医学部設置に関する見積書や設計図が出てくるかどうかです。住民側は、学園に対する土地(約37億円)の無償譲渡の差し止めと96億円の補助金交付の停止を求めています。もし、見積書や設計図が出てくれば、建築費の水増しがあったか否か明らかになります。最後まで争うつもりです」

 5日の参院内閣委員会で、自由党の山本太郎議員が会計検査院に「新獣医学部に対して、(建築費の)水増しが行われたかチェックすることは可能か」と質問。検査院側は、検査対象となるかどうか適切に判断するとして“含み”を残した。

 森友問題で“金星”を挙げた会計検査院だ。良識の府の参院はこの際「加計」の調査も会計検査院に要請すべきじゃないのか。