https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171129-00000001-maiall-soci

 熊本市議会で今月22日、子連れで議場に入り、賛否両論を巻き起こしている緒方夕佳(ゆうか)市議(42)が、毎日新聞のインタビューに応じた。生後7カ月の長男を抱いて入場したことについて「子育てと仕事の両立に苦しむ女性の悲痛な声を可視化したかった」と説明。「母子を分離させないで一緒に働ける選択肢があってもいい。子育て世代と連携しながら継続的に働きかけたい」と語った。【聞き手・城島勇人/熊本支局】

 ◇子連れ出席を議会事務局と事前に交渉

 −−いつから子連れで議場に入りたいと議会事務局に要望していましたか。

 昨年11月28日午後、議会事務局長ら3人と私で話した。妊娠報告をして「長男が生まれたら一緒に議場に連れて行きたい。議会内に託児所を設置するか、予算が厳しいならベビーシッターの手配または部分的な補助を出してほしい」と要望した。一歩でも子育て世代の議員を増やすための環境整備を進めたいとお願いしたが、市は「議員さん個人でベビーシッターを雇って、議員控室で見てもらってください」という答えだった。1、2時間話しても平行線だった。

 −−その後は。

 4月に長男を出産したが体調が悪化し、予定より遅い今年の12月議会から「議会に出られる日だけでも出たい」と思った。今年11月14日、議会事務局に電話で連絡して希望を伝えたが、事務局側は昨年と似たような答えだった。11月16日には議会棟の特別応接室で我が子を抱っこしながら議案説明を受けた。体を痛めて抱っこもあまりできなかったので、ベビーシッターを手配しようとも思っていたが、子育てと仕事の両立を「個人的なこと」という態度の事務局の対応に対し、「これだけの社会問題を個人の問題と片付けるのか」という思いがふつふつと湧いてきた。子育てと仕事の両立が大変だから、多くの子供を産めず少子化という社会現象につながっている。こういうやり方は限界と分かっていて、みんなが悲鳴をあげているのに、訴え続けても何も変わらない。声を聞いてもらうにはもう議場に我が子と座るしかない。無数の悲痛な声を可視化したかった。

−−それでベビーシッターも連れ、お子さんと議会に入場した。

 ベビーシッターを探すのも大変で、3人目だった。

 ◇同僚議員たちは賛否さまざま

 −−同僚議員には相談しなかったのですか。

 事務局に相談する前、複数の議員にも相談した。子連れで議場に入ることについて「そうあるべきだ」「いや、それはねえ……」といろいろだった。「難しいと思うが、あなたが覚悟してやろうと思うなら真っ向から否定するものはない」という意見もあった。

 −−最大会派の自民党には?

 子育て世代が傍聴しやすいようにしたかったので、新人議員に呼びかけて、親子傍聴室や無料託児所を設置するための要望書を一緒に出そうと各会派にも議論を呼びかけた。託児所は規則改正などで議会棟内の空室を使えないかと考えていた。

 −−結果は?

 自民党では否定的な意見が多く、「インターネットで傍聴できる環境を整える方が先」との意見も出たようだ。子連れで来たいという市民の声が私には届くが、他の議員のみなさんには届かないようで、ニーズが高くないと思われたのだろう。

 −−そこで行動に踏み切ったのですか。

 私は1人会派だから議会活性化検討会や議会運営委員会に入れず、議論の場も少なかった。

(略)