https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171128-00000035-sasahi-pol

 森友学園問題に関して、7月に籠池泰典前理事長にインタビューしたジャーナリストの田原総一朗氏。その内容は国会で確かめる必要があると指摘する。

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 2016年6月に森友学園に売却された国有地が、鑑定価格は9億5600万円だったのが、約8億2千万円も差し引かれて、1億3400万円となった。なぜ、これほど大幅な値引きがされたのか。

 理由は地中深くにごみがあるということで、政府はこれまで「適正な手続き、価格で処分され問題はない」(麻生太郎財務相)と繰り返してきた。疑惑を追及する野党議員に安倍首相は「積算の数字が問題になっているというのならば(野党側が)立証する責任がある」と答えていた。

 ところが11月22日に、森友学園への国有地の売却経緯を調べた会計検査院が、売却契約時に推計の理由としたデータの根拠が不十分であり、会計検査院の試算では最大でごみの量は約7割減ることになるなどと指摘した。政府はごみの量を1万9520トンと説明してきたが、検査院の試算では6196トンか1万3927トンだというのである。

 減った割合を撤去費用に適用すると、実際の値引きと約5億6千万〜2億3千万円の開きがある。政府側の答弁の根拠が大きく崩れたわけだ。当時、財務省理財局長だった佐川宣寿氏(現・国税庁長官)の国会での証言は、いったい何だったのか。当然、野党からは辞任の要求が出るだろう。

 それにしても、なぜ国有地がこれほど安く売却されたのか。森友学園の籠池泰典前理事長は、国会の証人喚問で「神風が吹いた」と言っていたが、「神風」とはいったい何だったのか。

 実は7月に、私は籠池氏にインタビューした。

 籠池氏は、安倍首相夫妻が森友学園の教育に賛同してくれて、だからこそ昭恵夫人が名誉校長になってくれたのだと語った。

 籠池氏は、私のインタビューに対して、15年10月に、昭恵夫人に電話をしたと語った。

 何のために電話をしたのか、と問うた。籠池氏は国有地の定期借地契約の期間延長に加え、もう一つ、国有地の売却価格が高すぎる、これを何とかして安くしてもらえないか、と頼んだのだと答えた。

 昭恵夫人は外遊中で、留守番電話となった。しかし、のちに昭恵夫人付の女性官僚から問い合わせがあったという。昭恵夫人が説明してくれたのだろう、と籠池氏は語った。

 そこで、籠池氏は、頼みたい内容をくわしく手紙に書いて、その官僚に郵送した。しばらく経つと、その官僚からファクスが届いた。このファクスの内容は公表されているが、要するに、いろいろ動いたがご期待には沿えないが、引き続き当方としても見守っていきたい、昭恵夫人にも報告している、という趣旨のものだった。

 そして16年になって、どうなったのか。籠池氏が求めていた国有地の売却価格の値下げなどについて、「満額回答だった」というのである。

 つまり、国有地の売却価格が8億円以上引き下げられたということだ。籠池氏は「昭恵夫人のご尽力に心から感謝したい」と語った。

 私は、昭恵氏に対して確かめてもおらず、籠池氏の言葉が信用できるかどうかもわからないが、国会でこの疑問を確かめる必要はあると思う。安倍首相はこれまで、売却額が適正だったかについては会計検査院の調査に委ねるという考えを示してきたのだから、説明責任から逃れることはできないはずだ。