自民税調本格論議 年収1000万円超増税軸 新税創設焦点、使い道課題
11/23(木) 7:55配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171123-00000085-san-bus_all

自民党税制調査会は22日、総会を開き、平成30年度税制改正に向けた議論を本格的に始めた。働き方や世代の違いによる所得税の不公平感をなくすため、会社員や年金受給者の控除を縮小し、「年収1千万円超」の人を増税とする案を軸に検討する。出国者にかかる「観光促進税」と森林保全に使う「森林環境税」の創設も焦点となる。来月14日の来年度与党税制改正大綱の決定に向け調整を急ぐ。

 所得税の控除見直しでは、会社員が課税所得を計算する上で収入から差し引ける給与所得控除を一律で引き下げ、誰もが受けられる基礎控除を同額程度増やす方向だ。その上で、高所得層に絞って給与所得控除の削減幅を上積みし、差し引きで負担増となる仕組みなどを想定する。増税対象は年収1千万円超などを軸に調整し、子育て世帯は負担が増えないよう配慮する。年金控除も、年金を除く収入が1千万円超の人の控除を縮小する見直し案が有力。年金収入が1千万円を超える人の控除額に上限を設けることも検討する。

 新税創設も焦点だ。自民党税調の宮沢洋一会長は22日の総会後、観光促進税の導入に向け本格的な議論に入る考えを示した。

 観光促進税は観光財源確保のために観光庁が創設を求め、骨格は、同庁が9月に立ち上げた有識者会議が今月まとめた。日本人を含む出国者から1人千円を航空券代に上乗せして徴収する形で、31年度の導入を目指す。実現すれば29年度の同庁の当初予算の2倍の約400億円が新たな財源になる。

 また林野庁などが数年前から創設を求めていた森林環境税は、地球温暖化対策として市町村の森林整備財源に充てる新税で、1人当たり年千円を個人住民税に上乗せして徴収する方向で検討が進む。導入時期は復興住民税の終了翌年の36年度や、放置された人工林を公的管理する「森林バンク」制度が始まる31年度に間に合わせる案がある。

 ただ、両税とも使い道に課題を残す。観光促進税は案内板の多言語化や海外でのPRに、森林環境税も間伐や林道整備など森林の保全整備に使途を限る案がある。一般的に目的税は予算が余っても使い切ろうとするため無駄遣いの温床になりやすく、税調でも慎重に制度設計を詰める方針だ。

 このほか、販売が伸びている加熱式たばこを含め、たばこ税の増税を検討する。