2017年11月22日 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/218051

加計学園が怒涛の学生集めを展開し、物議を醸している。先週土曜(18日)の読売新聞朝刊に〈学校法人加計学園 岡山理科大学 新しい獣医学部、誕生!〉と大文字が躍る全面広告を掲載したのだ。

 林文科相の認可が下りたとはいえ、「総理のご意向」をめぐる疑惑はいまだ払拭されず、真相解明を求める特別国会の本格審議はこれからだ。ネット上には「唖然」「ドン引き」「やることがイチイチ露骨」といった批判や、「安倍首相が読売新聞を読んでと薦めるわけだ」といった揶揄の声が上がっている。

 問題の広告は、今治市から無償譲渡された約17万平方メートル(37億円相当)の広大な敷地に建つ今治キャンパスの完成予想図を背景に〈出願は11月22日(水)スタート!〉と告知。柳澤康信学長と吉川泰弘新学部設置準備室長による対談形式で〈52年ぶりの獣医学部に託されたミッション〉の意義を訴え、柳澤学長は〈国内最大級規模の教員組織〉をこう誇っている。

〈獣医学科(6年制・入学定員140名)、獣医保健看護学科(4年制・同60名)を合わせて専任教員87名(教授33名、准教授20名、講師9名、助教25名)という、日本で最大級規模の充実した教員組織を編成しました。一人ひとりの学生を丁寧に指導できます〉

 学部新設を審査した文科省大学設置・学校法人審議会(設置審)をはじめ、各方面から指摘されていた教員不足の懸念解消に躍起な様子が見てとれる。

■国会審議もどこ吹く風

 それにしても、広告掲載は認可からわずか4日後。12月9日実施の推薦入試を皮切りに順次選考が行われ、18日には合格発表が行われるという。なりふり構わないスピード感は脱帽モノだ。加計学園に対し、このタイミングで広告を掲載した理由や反響などを問い合わせたが、期日までに回答はなかった。

「世論の猛反発で認可判断が3カ月も先延ばしになり、学生集めに相当窮していると聞きます。初年度は死に物狂いで定員数をかき集めるでしょうが、6年後に卒業する1期生のうち、何人が獣医師免許を取得しているか。鳴り物入りで学部を新設したところで、結果を出さなければ学生は入ってこないし、ビジネスとしても成立しない。この先が見ものです」(日本獣医師会関係者)

一方、読売は5月3日の憲法記念日に安倍首相の「2020改憲宣言」を1面トップで扱ったり、加計疑惑を追及する前川喜平前文科次官の極めて個人的な動向を報じるなど、政権寄りなのは周知の事実だ。

 とはいえ、疑惑をめぐる国会審議の最中の広告掲載は火中の栗を拾うようなものだろう。

 掲載判断や読者の反応などについて質問したところ、「広告掲載の経緯等については、従来お答えしていません。広告は、当社広告掲載基準に従って掲載しています」(読売新聞グループ本社広報部)との回答だった。

 無事に入学式を迎えられるか。