2017.11.15 16:00 女性セブン2017年11月23日号
https://www.news-postseven.com/archives/20171115_628688.html?PAGE=1

元TBSテレビ報道局ワシントン支局長の山口敬之氏(51才)からレイプ被害を受けたことを明かし、10月18日に著書『Black Box』(文藝春秋)で初めてフルネームを明らかにしたジャーナリストの伊藤詩織さん(28才)。性被害に遭いながら、誰にも相談できずに泣き寝入りする女性は多い。

 2014年度内閣府調査によると、異性から無理矢理に性交された被害の相談先について、「どこ(だれ)にも相談しなかった」との回答は67.5%にものぼる(複数回答)。

 何より大切なことは、性犯罪で深く大きな傷を負った被害者に寄り添い、もう一度人生に希望を見いだせるまでサポートする社会をつくることだ。詩織さんが言う。

「あの晩以来、映画の中であっても山口氏に似た風貌の男性を見かけるとパニックを起こしてしまう。睡眠障害も一向に収まりません。それでも、私にできることはこの経験を伝えて同じ苦しみを体験する人を少しでも減らすこと」

 詩織さんのもとには、そんな被害者やその家族と友人から励ましと感謝の声が届いている。

「先日、カフェに行ったとき、1人の女性が歩み寄ってきました。彼女は、『私も同じ経験をしたけど何もできなくて、心のなかにしまっているうちに時効になってしまいました。詩織さんが声を上げたことを、私はすごく応援したい…』と涙ながらに話してくださいました。

 勇気を振り絞って話しかけてきてくれた彼女を見て、誰にも告げられない傷を自分のなかに閉じ込めてしまうことが性暴力の恐ろしさだと再認識しました。誰でもわかるような外傷、血が流れていればすぐに手当てはできますが、性暴力は見えない傷になってしまうことが多い。その傷に時効はなく、命を絶つ人もいます。早急に救済のシステムを充実させ、司法、捜査のあり方を見つめ直し、社会全体で改善していくことが必要です。これを『よくある話』で済ませてはいけません」(詩織さん)