2017.11.15 19:30 まいじつ
https://myjitsu.jp/archives/36308

元TBS記者の山口敬之氏からの性暴力被害を告発したジャーナリストの伊藤詩織氏。10月18日に手記『Black Box』(文藝春秋)を発売し、このなかで初めて本名を公表した。

それから約1カ月、山口氏が月刊誌で反論を表明するなど、泥沼の様相を呈している。

伊藤氏は2015年4月、当時TBSのワシントン支局長だった山口氏に、アメリカでの就労ビザについて相談するために会った。その際、飲食しているあいだに、伊藤氏は急に昏倒し、意識を取り戻すと、山口氏にレイプされている最中だったと主張している。

彼女の下着から検出された山口氏のDNA、山口氏のホテルへ移動したタクシー運転手の証言やホテルの防犯カメラ映像などの証拠を集め、告発を受けた警視庁高輪署も山口氏の逮捕令状を裁判所から得た。しかし、まさに捜査官が山口氏を逮捕しようとしたそのときに、警視庁本部の中村格刑事部長(当時)の突然の指示で、逮捕は見送られた。

そして、今年5月に伊藤氏は山口氏から性暴力を受けたとして検察審査会へ提訴をしたが、9月に不起訴相当を議決。事件の捜査は終わった。

これを受けて山口氏は報道活動を再開するとし、以下のような投稿をフェイスブックにおこなった。

《私は5月に伊藤詩織という女性から、「全く事実と異なる主張」に基づいた司法アクションを起こされたことをきっかけに、様々な判断から記者としての発信を控えてきました。しかし、先月の検察審査会の「不起訴妥当」という議決によって、伊藤氏側の主張は退けられ、刑事事件として完全に終結しました。これを受け、このたび正式に記者活動を再開する事に致しました。記者活動再開第一弾として、昨日(10/26)発売の月刊誌2誌に寄稿しました。二誌とも全国ほとんどの書店で扱っています。》
月刊誌には、今回の事件の顛末を記している。



山口氏の食い違っている主張

もう一方の当事者である伊藤氏は10月24日に外国人記者クラブで会見をし、検察審査会の審議に対しての疑念を示した。

検察審査会に証人や申立人の代理が呼ばれ、証言することがあるにもかかわらず、伊藤さんや、彼女の弁護士も呼ばれることはなかった。
検察審査会の不起訴相当議決の理由として、不起訴処分の裁定を覆すに足りる理由がない、その内容の具体的な説明はなかった。
伊藤さんが山口さんからタクシーから下され、ホテルへ引きずられていく防犯カメラの動画を審査員に見てもらいたいと伊藤さんは主張。だが、実際に動画として証拠が提出されたのかについて、検査審査会は回答しなかった。
伊藤さんの申し立てを扱った審査員の男女比は、男性が7名、女性が4名。男女比を半々にするべきではなかったか。
これらに対して回答は示されていないという。

「山口氏の主張には食い違いが見られます。月刊誌に寄稿した記事では、《ドアを開けて中を見ると、あなた(伊藤さんのこと)は尻もちをついて、トイレとバスタブの間に座り込んでいました(中略)あなたは謝罪ともうめき声ともつかない声を上げながら、何とか自ら起き上がりました。そして、ゲロまみれのブラウスを脱ぎ、部屋に戻るとベッドに倒れ込み、そのまま寝てしまったのです》と記していますが、2015年の問題の晩から2週間後に伊藤氏に送ったメールでは、《トイレにあなたを見に行くと、あなたは自分がトイレの床の上で吐いたゲロの上で寝込んでいました。私はあなたをゲロの上から剥がして、ゲロまみれのあなたのブラウスとスラックスを脱がせ、あなたを部屋に移した後、ベッドに寝かせました》となっているのです。山口氏は当初はゲロまみれになった伊藤氏の服を自分が脱がせてベッドに運んだはずが、2年後には伊藤氏が自分で服を脱いでベッドで寝ていたと、明らかに主張が食い違っているのです」(政治記者)

他人が脱がせたのと自分で脱いだとでは大違いだ。そして、もうひとつのおかしな点は、事件を不起訴にした中村氏が「(逮捕は必要ないと)わたしが判断した」と週刊新潮の取材に答えていること。不起訴にした理由については沈黙を貫いていることだ。

山口氏はフェイスブックで《週刊新潮はその後、何度も何度も、私の人格を否定するような誹謗中傷記事を書き続けました。》と批判をしているが、これらに対して山口氏と中村氏が回答しない限り、伊藤氏が引くことはなさそうだ。