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自民党の野党時代に決まった時間配分
 もともと、与野党2対8という質問時間に申し合わせで決まったのには経緯がある。2009年に自民党が下野するまでは与党4対野党6が目安だった。ところが、民主党政権は「政府与党一体」という姿勢を強く打ち出したため、当時、野党だった自民党の要求で野党の質問時間を8にまで増やした。

 議員内閣制では政府と与党は一体なのが当たり前だ、と解説するメディアもあるが、日本の場合、そう単純ではない。明治以来、霞が関官僚の力が強い中で、かつては与党政治家が質問に立って、省庁の局長などから答弁を引き出すという姿がしばしば見られた。

 自民党は党の政務調査会に様々な部会を置き、そこで内閣が提出する法案(閣法)などは事前に審査することになっている。その決定を経て、総務会で承認されたものを、内閣が閣議決定して国会に提出するというのが基本的な段取りだ。

 つまり、国会に提出される各法は事前に党内での議論は終わっており、国会で与党議員が閣僚に質問するのは「形だけ」ということになる。もちろん議決する場合に、与党議員が反対することはまずあり得ない。だからこそ、与党の質問時間は少なくていい、ということになるわけだ。

 民主党政権が「政府与党一体」と宣言した背景には、自民党の政調で決めるプロセスは一切国民に公開されない密室で決まっており、いわゆる「政官業癒着」の舞台になっている、とする主張があった。

 民主党は政調の機能を止め、業界からの陳情なども幹事長室に一本化した。また、政府の意思決定は大臣・副大臣・大臣政務官の「政務三役」で行うとして官僚を排除した。

 そうした政治システム改革の流れの中で、政府を動かす与党の議員が政府に質問するのはおかしいという論理で、与党の質問時間が2割まで減ったのだ。

 野党に転落した自民党は、ベテラン政治家を予算委員会などでの質問に立たせ、民主党政権を徹底的に批判した。それが、立場が逆転した途端に、質問時間を与党に配分せよと言っているわけだ。