10/25(水) 8:00配信 デイリー新潮
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171025-00531821-shincho-bus_all

政府発表「GDP4%成長」実は「マイナス9・9%」のカラクリ――田代秀敏(上)
 サジ加減ひとつで、どうにでもなる中国の統計みたいではないか。先ごろ内閣府が発表したGDP「4%」成長のニュースは、ひと月も経たないうちに4割近くも下方修正する体たらくであった。それどころか実際は、「マイナス9・9%」という数値も出ていたのである。

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 9月25日、衆院解散の記者会見で、安倍総理が最初に切り出したのは「アベノミクス」の成果についてだった。

〈アベノミクス三本の矢を放つことで日本経済の停滞を打破し、マイナスからプラス成長へと大きく転換することができました。

 今、日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長。内需主導の力強い経済成長が実現しています〉

 国民に信を問うその場で、一番うまくいった政策がアベノミクスだと強調したのである。

 これに先立つ1カ月あまり前、

〈GDP実質4・0%増〉

 というニュース(8月14日)が日本中の新聞紙面を飾ったのをおぼえているだろうか。今年4〜6月期のGDPが、年率にして「4・0%」(速報値)も成長したというものだ。

 後にこれが内閣府による「打ち上げ花火」だったことが分かるのだが、アベノミクスはやはりホンモノだったのか、と私はニュースに目が釘付けになってしまった。

内閣支持率も回復
 実際、これは民間エコノミスト予測の平均値2・24%を大きく上回っただけでなく、米国の2・6%、ドイツの2・4%をも上回ってG7でもトップの数値である。

 もちろん、世界中もびっくりだ。

 IMFの見通しでは、2017年の先進国平均で2%、新興国平均が4・5%だったから、日本の「4%」成長は新興国にせまる勢いである。

 日銀の黒田総裁、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長、欧州中央銀行のドラギ総裁など、各国の中央銀行トップが一堂に会するジャクソンホール会議(8月24日〜26日)で日本の成長力を絶賛する声が相次いだのも当然のことだった。

 なにより、「4%」成長のニュースは安倍政権にとって大きなプラスをもたらした。

 今年の7〜8月を思い出して欲しい。相次ぐ議員のスキャンダルに森友・加計問題が重なり、内閣支持率が20%台に急落。都議選の歴史的大敗もあって安倍政権は最大のピンチともいえる時期だった。

 そこへ、「4%」成長のニュースが飛び込んできたものだから、まさに「干天の慈雨」。いろいろ問題はあるけれど、経済のかじ取りはうまく行っていると受け取った国民もいたに違いない。その後、内閣支持率が回復したのは、ご存じの通りだ。

 が、この数字を見て、首をひねった読者もいたに違いない。私もそうである。なぜなら、「4%」成長のニュースと裏腹に、足元のデータはお寒いものばかりだったからだ。