https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171022-00010005-bfj-pol

「国会前デモは意味がない、と批判された。でも、そこでの積み上げは無駄じゃなかったと言いたい」。この選挙で注目を集めた立憲民主のSNS戦略を動かしていたのは、元SEALDs(シールズ)のメンバーたちだった。立憲民主の躍進は、彼らが主導した国会前デモ、野党共闘の先にあった。【BuzzFeed Japan / 石戸諭、伊吹早織】

立憲民主は「勢い」を作りだした

10月21日、東京・新宿駅で最後の演説会を終えた立憲民主党の関係者はしみじみと語った。「こんなに人が集まるなんて、最初を思えば想定外です」

立憲民主のPR戦略はとてもシンプルだ。「勢い」を演出することが基本にある。勢いとは、人を巻き込むことでムーブメントを作り出すこと。基本カラーをブルーと白に揃えた。政党としての統一感ができ、印象にも残る。演説会では、候補者や枝野幸男党首を支援者が取り囲むような会場設営をする。距離を近づけることで、人が多く映る「絵」になる。

そして演説は、政党を貫く理念を中心に。動画は拡散しやすいように、30秒〜1分程度のものをすぐまとめて流す。添えるメッセージは演説からなるべくシンプルなものを抽出している。専門的な用語は避けて、日常的な言葉に寄せる。ハッシュタグをつけて、より拡散させる。

拡散されることで、ツイッターのトレンドには彼らのハッシュタグがあがる。盛り上がっている、と思った人たちが現場に足を運び、人が集まる。集まった人はさらにツイッターで発信する。参加と発信の循環で、勢いは演出から本物に変わる。

集会を取材すると、元SEALDsのメンバーたちの姿をそこかしこでみた。彼らは大勢の群衆を前に充実した表情を見せていた。
手法は新しくない、これまでの積み上げだ

選挙戦最終日の10月21日、新宿駅に集まった人は8000人(主催者発表)。雨が降っていたので建物の中から見ていた人、反対の車道から聞いた人……。人数以上に重要なのは、組織動員とは無縁の支持層を開拓したことだった。

もっとも、これ自体は目新しいことではない。SEALDsに限らず、世界各地の社会運動グループがやってきた手法そのままだ。彼らは国会前デモ、そして野党共闘を訴えた2016年の参院選の流れそのままに、立憲民主党で戦った。昨年の参院選でSEALDsの中心メンバーだった奥田愛基さんが、記者会見で語っていた言葉をそのまま引用する。

「一般的な選挙の絵は選挙カーに政治家が乗っているというもの。これだと政治家が上から説得するというような絵に見えてしまう。僕たちが提案したのは、低い台に登壇した候補者の周りを、支持者が囲むこと。なるべく同じ目線で候補者がしゃべっている絵です。デモをやってきたときから思っていたが、(ポスターなどの)色やフレーズが統一されていないことがある。僕からしたら、それはカッコ悪い。もっとどう見えたか気にしないといけない」

立憲民主党の戦略は、この延長線上にある。過去の経験、積み上げを生かしたことがわかるだろう。国会前デモに参加していたメンバーは語る。「国会前デモは現実の政治にとってなんの意味ない、無駄だと言われたこともある。でも、そのときの積み上げがあるから、いまがある」

以下ソース