読売新聞 社説

政治姿勢 国民の疑念には真摯に答えよ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20171012-OYT1T50128.html

国民の信頼がなければどんな政策も円滑に推進することはできない。疑念が生じたら、常に真摯しんし
に向き合い、誠実に説明を尽くすべきだ。

 衆院選では、安倍首相の政治姿勢も問われている。首相は臨時国会で審議に入らないまま、
衆院を解散した。野党は、森友・加計学園問題の疑惑隠しと批判する。

 7月の東京都議選での自民党大敗後、首相は、疑惑で国民の不信を招いたことについて
「深い反省」を示し、丁寧に説明すると約束した。選挙中も、その後も、言葉通りの対応に努めねばなるまい。

 森友学園への国有地売却や、国家戦略特区を利用した加計学園の獣医学部新設では、
首相の知人らへの便宜供与の有無が焦点である。

 従来の国会審議で、首相の関与を明言する関係者がいないのは、首相が主張する通りだ。
政府関係者は、国有地売却や特区選定作業に不正はなかったと証言する。

 一方で、学園側との面会などを巡り、政府関係者が「記録がない」「記憶にない」と繰り返したことは
国民の疑念を高めた。

 森友学園問題では、近畿財務局職員が学園の要望を受け、「できるだけゼロ円に近い額になるよう
作業している」などと述べたことも明らかになった。従来の国会答弁との整合性が問題となる。

 同じ説明を重ねることが「丁寧な説明」ではない。必要に応じて内部調査を行い、新たな事実関係
を明らかにするなど、踏み込んだ説明を行わなければ、国民の理解を広げることは難しい。

以下略