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 安倍首相は約2年10か月ぶりの衆院選に向け、野党再編で勢力拡大を続ける新党「希望の党」との対決姿勢を鮮明に打ち出した。

 事前に場所などは公表しないサプライズ演説が、解散後の「第一声」となった。午後5時半すぎ。雨が降りしきる中、渋谷駅前で公明党の山口那津男代表(65)らと街頭演説。2012年12月に政権奪取以降、約5年弱での経済成長や雇用回復などの実績を強調。北朝鮮のミサイル問題については「一分のスキもない万全な態勢だ」と言い切り、“強さ”をアピールした。

 7月に行われた都議選の秋葉原での街頭演説では、市民団体などによる「安倍やめろ」「帰れ」コールもあったが、この日は告知がなかったからか、皆無だった。厳重な警備が敷かれ、物々しい雰囲気の中、安倍首相が登場すると聴衆からは歓声や拍手が上がった。安倍首相の背後にあるビルの電光掲示板には「どんな手を使っても安倍政権を止める」(民進党・前原代表)との談話が流れる場面もあった。

 希望の党代表となった小池氏に対する直接の言及は封印した。だが、民進党が希望の党への事実上の合流を決めたことについては「野党のみなさんは新しい党を作ろうとしています。1990年代、新党ブームがありました。その結果、政治は混乱し、日本は長い経済の混乱に突入した」と指摘。「民主党政権で混乱を極め、雇用が失われた」とした上で「ブームから“希望”は生まれない」と批判した。

 これまで安倍首相は小池氏と良好な関係を築いてきた。昨年の都知事選で自民党推薦候補を破って当選した小池氏には「一本取られました」と完敗を認め、小池氏も安倍首相への批判はしていなかった。

 だが、小池氏を中心とする野党再編で両者の関係は一気に変化。周辺からは「安倍さんは小池さんを評価しすぎている。人が良すぎるよ」との声も上がる中、安倍首相が戦闘態勢に入った。