2017/9/28 22:04

 衆院は28日午後の本会議で解散され、与野党は「10月10日公示―22日投開票」の衆院選に向けて事実上の選挙戦に突入した。安倍晋三首相(自民党総裁)と民進党が合流する新党「希望の党」代表の小池百合子東京都知事が戦う構図が浮かび上がる。争点は消費増税の是非や、憲法改正の内容、原発政策など。政権選択の選挙となる。


 日本経済新聞社の調べによると、28日時点の立候補予定者は与野党で約1千人。「1票の格差」是正で定数は小選挙区が6減の289、比例代表が4減の176となり、計465議席を与野党が争う。首相は勝敗ラインを自民、公明両党で過半数(233議席)に設定している。

 首相は解散後、首相官邸で記者団に「急速に進む少子高齢化の中でいかに日本の未来、子どもたちの未来を切り開いていくかを問う選挙だ」と語った。「ただ批判の応酬ではなく、私たちの政策を具体的に、しっかりと、誠意をもって訴えていきたい」と力説した。

 これに先立ち首相は国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を開催。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の情勢を協議した。選挙期間中の対応に支障が出ないよう、政府の危機管理態勢を擦り合わせた。

 首相はこの後、都内で連立を組む公明党の山口那津男代表と並んで街頭演説した。自公連立政権について「しっかりと政策を擦り合わせ議論をし同じ方向に進んでいる」と結束力を強調した。山口氏も「政権基盤を固める選挙だ。自公政権に託してほしい」と支持を呼びかけた。

 小池氏は都内で講演し「しがらみの政治から脱却し、新しい日本、新しい東京をつくっていかないといけない」と話した。「いま日本を、東京をリセットしないと世界の激動、潮流に日本は置いてけぼりになるのではないか」と述べ、政権交代の必要性を訴えた。


 選挙戦の争点の一つが消費増税の是非だ。首相は増収分の使途を見直し、幼児教育の無償化などにも振り向ける考えを示す。希望は消費増税の凍結を掲げる。憲法改正は改憲を前提とした内容の議論だ。首相は9条への自衛隊の根拠規定明記を主張。小池氏は地方分権を優先するよう訴える。

 首相の政治姿勢も焦点になる。民進、共産、自由、社民の野党4党は首相による臨時国会冒頭での衆院解散を「大義がない」などと批判。28日の衆院本会議を欠席した。学校法人の「加計学園」や「森友学園」を巡る問題の疑惑を隠すものだと断じており、選挙戦でも首相の説明責任を追及する。

 解散は現行憲法下で24回目で、衆院選は14年12月以来、2年10カ月ぶり。小選挙区比例代表並立制を導入してから8回目の衆院選となる。

http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASFS28H62_Y7A920C1MM8000
https://mw.nikkei.com/content/pic/20170928/96958A9E93819481E0EA9AE4E08DE0EAE2EBE0E2E3E59F9FEAE2E2E2-DSXMZO2165175028092017000002-PB1-3.jpg
https://mw.nikkei.com/content/pic/20170928/96958A9E93819481E0EA9AE4E08DE0EAE2EBE0E2E3E59F9FEAE2E2E2-DSXMZO2162955028092017MM8001-PB1-3.jpg