>>1
(つづき)
■「官邸の一存」の強さが悪い方に加速している
――点と線とおっしゃいましたが、どういうことなんですか?

望月 もともと私は武器輸出の問題を取材し続けていました。2014年4月に「武器輸出三原則」が撤廃されて「防衛装備移転三原則」が決まり、武器を他国に売って海外と共同開発も行っていくという方向に転換したことがきっかけです。これまでの「戦後70年」とは明らかに違う動きが出てきているという恐怖と、未来の子どもたちの為に何とかしなくてはいけないという思いに駆られるようになりました。

 これに重なって取材をしていく中で、大きな動きだと思ったのが、教育基本法の改正です。2006年、第1次安倍政権のときのものですが、教育基本法の前文の精神がなくなり、愛国心とか道徳とかナショナリズムを全面出す形に法律が変わった。取材で知りましたが、森友学園問題の籠池(泰典)さんが安倍さんに心酔した大きな理由は、これなんですよね。一方で、前川喜平前文科事務次官にインタビューしたとき、彼はこう言っていました。政権に疑問を感じるようになったのは、民主主義を根付かせるために作られた教育基本法が改正され、その精神が変わり、改正した教育基本法が愛国心を強化する流れになったときからだと。

――国のありかたが明らかに変わってきたと……。

望月 そうですね、その後、第2次安倍政権になり「安倍一強」となりましたが、「官邸の一存」の強さが悪い方に加速していると思うんです。加計学園問題の資料を出すか出さないか、森友学園の8億円値引きの経緯についての行政文書を出すか出さないかも「官邸の一存」次第。権力の中枢部でいったい何が起きているのかという疑問がすごく湧いてきました。

――望月さんはTBSの山口敬之・元ワシントン支局長の女性への暴行事件の「もみ消し疑惑」を訴えた詩織さんにインタビュー取材もされていますが、これに前川前次官、籠池氏といった取材で得た「点」が連なり、官邸権力という「線」が見えるようになったと。

望月 おまけに私が取材していた武器輸出を巡って、経産省、財務省の役人を呼びつけていろいろ指示していたのが和泉(洋人)補佐官。加計学園問題でもキーパーソンとして名前が挙がって驚きました。ここもつながりますか、と。