稲田朋美「政治資金パーティー」発起人は“死者”だった
2017.07.21 11:00
http://www.news-postseven.com/archives/20170721_595300.html?PAGE=1#container

 内閣改造で「去りゆく大臣」がこれほど注目されたことはなかったのではないか。相次ぐ失言に加え、新たにPKO日報の隠蔽疑惑まで噴き出している稲田朋美・防衛相だ。

「極めて有力な首相候補だ」

 安倍首相がほんの1年半前にそう“絶賛”した稲田防衛相が、内閣改造の直前になっても失態をさらし続けている。

 東京都議選での公職選挙法違反発言に続き、九州北部豪雨で大きな被害が発生した7月6日には防衛省を1時間以上抜け出して私的な勉強会に出席していたことが発覚。

 相次ぐ不祥事で翌7日に予定していた政治資金パーティー「稲田朋美さんと道義大国を目指す会」を中止する事態に追い込まれた。「パーティー中止の連絡が来たのは当日午後で、会費は返金するという説明でした」(後援者)という。

 このパーティーこそ、稲田氏の政治家としての資質が問われるいわくつきのものだった。その案内状には、こんな挨拶文が添えられていた。

〈今、日本を取り巻く安全保障環境が厳しい状況の中で、防衛大臣の職責はますます重くなっています。いまやまさに日本を代表する政治家の一人として多くの国民にその手腕が発揮されることと、八面六臂の活躍が期待されています。

 この度、稲田さんと同じ思いを持つ皆様と「衆議院議員稲田朋美さんと道義大国を目指す会」を開催することに致しました〉

 会場はホテル・ニューオータニ(東京)の大宴会場「鳳凰の間」で、「会費」は2万円。問い合わせ先は衆院議員会館の稲田氏の事務所になっていた。

 一見、普通の文面に見えるが、受け取った後援者たちを驚かせたのは、これが“故人からの案内状”だったからだ。挨拶文の署名には、〈稲田朋美全国後援会「ともみ組」会長〉として渡部昇一・上智大学名誉教授の名前があった。稲田氏の後援者の1人が眉をひそめて語った。

「案内状が郵送されてきたのは5月中旬でした。渡部先生は稲田さんを熱心に応援されていましたが、1か月前に亡くなっていた。その渡部先生が呼び掛け人のままになっているのを見てギョッとしましたね」

 保守派の論客として知られた渡部氏は今年4月17日、心不全で亡くなっている。挨拶文の日付は「平成二十九年四月吉日」となっており、渡部氏が生前に記したと思われるが、故人の名前で〈皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます〉と資金集めパーティーの案内状を出すのは相手先にも、なにより渡部氏に対しても礼を失している。

「常識があればせめて挨拶文に『渡部先生のご遺志を継いで』といった稲田さんのひとことを添えて案内状を刷り直すのが当然でしょう。印刷費をケチったとは考えたくないが、政治家云々の前に社会人としていかがなものか」(同前)