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 ◇24日の週、開催提案

 自民党は14日、学校法人「加計学園」問題を巡り、安倍晋三首相が出席する予算委員会の閉会中審査を24日からの週に衆参両院で開催する案を民進党に示した。閉会中審査を巡っては、自民党の竹下亘国対委員長の開催拒否が約2時間半後に首相の意向で覆るなど、右往左往ぶりがあらわになっている。こうした首相と党の食い違いに加え、首相官邸内の思惑の違いも見え、政権は混乱の度合いを深めている。

 菅義偉官房長官は14日の記者会見で「首相は前から(国会で説明する)気持ちは持っていた」と強調した。だが、政権の対応は揺れ動いた。

 当初、菅氏や竹下氏は疑惑を払拭(ふっしょく)する有力な材料が見当たらないことから閉会中審査に慎重だった。これに対し、内閣支持率低迷に焦る首相周辺から「逃げたと言われるよりはいい」との声が強まり、最終的に首相が開催を決断した。

 菅氏らの慎重姿勢には、集中審議の実施が、和泉洋人首相補佐官の参考人招致につながることへの懸念も影響していたと見られる。

 前川喜平前文部科学事務次官は和泉氏を「さまざまな動きをしていた」と「首相の関与」の中心人物として名指ししているが、菅氏は「和泉氏は首相から指示を受けたことはない」と述べている。

 菅氏らは和泉氏の招致に「野党との水掛け論になるだけ」と懸念する。一方で、首相周辺は閉会中審査で和泉氏に「首相の関与」を明確に否定させるシナリオを描く。食い違いが政権内に広がるなかで、官邸内では「閉会中審査に応じても拒否しても、いずれにしても支持率は下がる」と冷めた声も上がる。

 和泉氏招致が疑惑の払拭につながらなければ、杉田和博官房副長官ら関係者の国会招致に応じざるを得なくなるという見方もある。

 内部に食い違いを抱える政権側は、野党に配慮する余裕もなくなっている。

 予算委審議などでは、与党側は野党に配慮し、与野党「2対8」を目安に質問時間を野党に多く配分してきた慣例がある。だが、自民党の小此木八郎国対委員長代理は14日、国会内で民進党の笠浩史国対委員長代理と会談し、与野党の質問配分を均等にするよう要求した。

 自民党の提案は野党の追及時間を極力縮め、自らの主張を訴える時間を確保するという異例の要求で、なりふり構わなくなっている政権側の苦しさの表れでもある。

 会談で笠氏は「到底のめない」と要求を拒否した。しかし、小此木氏は会談後の記者会見で「我々の主張もしたい。政府の主張を改めて国民に聞いてほしいというのが首相の話だ」となお理解を求めた。【光田宗義、遠藤修平】