政府と連合が13日、「高度プロフェッショナル制度」の導入に向けて歩み寄ったのは、「働き方改革」の具体化で政権の再浮揚を目指す安倍晋三首相と、労働政策で存在感を示したい連合の思惑が一致したためだ。神津里季生会長は制度容認を「方針転換ではない」と繰り返したが、安倍政権の助け舟になったのは間違いない。一方、「蚊帳の外」に置かれた民進党には戸惑いが広がっている。

 2012年末の第2次安倍内閣発足後、首相が経済界に直接、賃上げを要請する「官製春闘」が定着した。民進党が低迷する中、連合は安倍政権に接近。首相と神津氏が4月、首相官邸で長時間労働是正などについて会談した際には、神津氏は「事実上の(定期的な)政労会見だ」と歓迎した。高度プロフェッショナル制度を巡る今回の合意は、こうした経緯の延長線上にある。

 報道各社の世論調査で内閣支持率の下落が止まらず、安倍政権は焦りを強めている。秋の臨時国会で残業時間の上限規制などを含めた法改正を実現するには、民進、共産両党が「残業代ゼロ法案」と批判してきた高度プロフェッショナル制度に連合の協力を得る必要があった。首相官邸幹部は「民進党は連合の意向を無視できない」と述べ、連合が容認に転じれば、民進党も政府案に乗らざるを得ないとの見方を示した。

 神津氏は会談後、高度プロフェッショナル制度の改善を3月末から政府に求めていたことを明らかにした。しかし、民進党にとっては寝耳に水。連合の制度容認が事前に報じられると、大串博志政調会長は「民進党は即座に賛成とはならないのではないか」と困惑した。

 神津氏は13日、首相との会談を前に蓮舫代表に電話し「コミュニケーション不足だった」と陳謝した。【松倉佑輔、影山哲也】

7/14(金) 0:03配信 
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