大阪府議会は10日、学校法人「森友学園」(大阪市)の籠池泰典前理事長(64)を参考人招致した。開設を目指していた小学校用地として国有地を評価額より大幅に安く取得した契約や、府などの補助金を不正受給した疑いについては言及を避け、疑惑の核心は語らなかった。小学校の設置認可を巡って府側から優遇を受けたとの発言も飛び出したが、府側は否定している。

■小学校認可

 籠池前理事長は冒頭、「私の不行き届きが原因でこのような結果になり謝罪する」と頭を下げつつ、「私だけをトカゲのしっぽ切りにせず、百条委員会を設けて知事らも呼ぶべきだ」と述べた。

 学園は同府豊中市に小学校開設を計画し、大阪府に設置認可を申請。小学校の名誉校長には一時、安倍昭恵首相夫人が就いていた。しかし、国有地を安く取得した問題や校舎建築費を偽った疑いが浮上し、3月に申請を取り下げた。

 籠池前理事長は小学校の設置認可に関し「元府議を通じて松井一郎知事や府幹部への働きかけを依頼した。府幹部から直接連絡があり、職員にも丁寧に指導いただいた」と語った。その上で、府私立学校審議会(私学審)が2015年1月に条件付きで認可適当と答申したため、「国有地の契約など全てが動きだした」と主張した。

 ただ、私学審に学園の資産状況をよく見せかけた虚偽資料を提出した疑いを問われると、「私は知らない。答えは控える」とした。

■補助金不正

 運営する塚本幼稚園(同市淀川区)が、専任の教員数に応じて支給される府の補助金約6200万円を不正受給した疑いがもたれている。この件には「資料が全て検察に持っていかれ、刑事問題になっており回答を控える」と説明を拒んだ。

 小学校の校舎建築費として3種類の契約書が存在したことも明るみになった。国に実際の金額とは異なる契約書を提出し、補助金約5600万円を不正受給した疑いも出ているが、「刑事事件にかかわる」として答弁しなかった。

■国有地売却

 疑惑の発端となった国有地の払い下げ問題。16年に土地評価額より約8億円差し引いた額で売買契約が結ばれた。この契約については「当時の顧問弁護士に一任し、私としては皆目見当がつかない」と述べた。

 ごみ撤去費用が値引きの根拠とされるが、「(産業廃棄物の量は)建設業者と設計事務所しか知らない。私に説明もない」と主張。「財務省近畿財務局は中身がどれくらいあるかは調べてないのではないか」と述べた。

 財務省は国会答弁などで「政治的配慮はなく、適切な価格で契約した」としている。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASHC10H5V_10072017AC8Z00/